「カラマーゾフの兄弟」が東大生に人気が高い背景。現代人も考えさせられる、作品のメッセージ
そして3人の兄弟以外にも、フョードルの私生児だと噂される使用人のスメルジャコフがいます。彼はイヴァンに心酔していました。 ■男女関係や財産相続など、さまざまな難題 そんな中、財産相続問題を話し合うために3兄弟が集結しましたが、うまくいかずに決裂してしまいます。 一方で、フョードルとドミートリイはグルーシェニカという女性を取り合い、イヴァンはドミートリイの婚約者であるカチェリーナに恋愛感情を抱くなど、男女問題が絡むことで、家族の関係はさらにややこしくなっていきます。
アレクセイはこの問題を解決するために奔走しますが、そんなある日、フョードルが自宅で殺されてしまいます。 状況証拠はドミートリイが犯人なのではないかと思わせるものばかりで、ドミートリイは裁判にかけられますが、自分はやっていないと主張します。はたして、フョードルは誰が殺したのでしょうか? ここからは、ネタバレになってしまいますが、父であるフョードルを殺した犯人は、スメルジャコフでした。スメルジャコフは、イヴァンが「神はいないから、すべては許される」と言っていた言葉をそのまま受け取り、フョードルを殺してしまったのでした。
イヴァンは怒り、翌日の裁判で真実を話すよう迫りますが、スメルジャコフはその前に自殺してしまいました。 ここでイヴァンは悩みます。「カチェリーナのことを考えると、ドミートリイのことが嫌いだし、死んでほしいと思っている。それでも自分は、正しいことをしなければならない。でも、なぜそうしなければいけない? 神はいない。すべて許される。それなのに、なぜ自分はここで、犯人はスメルジャコフだと言わなければならないのだ?」と。
このときイヴァンは自身の中の葛藤で、ついに発狂してしまいます。さらに「父を殺す」と酔った勢いで書いた手紙により、なんとドミートリイは有罪とされてしまいました。シベリア流刑懲役20年が言い渡されて、物語は終わります。 ■今の時代を生きるヒント さて、この「カラマーゾフの兄弟」は、今の時代を生きていくためのメッセージを教えてくれます。 この物語の中で、父のフョードルはずっとこのような話をしています。 「神様がいるなら、自分の悪行は許されないだろう。でも、神様なんていないんじゃないか?」「人間は、何かを信じなければ生きていけない。誰かの前にひざまずかずにはいられない、哀れな生き物だ。その相手は神様かもしれないし、人かもしれない」