アラン・ドロン、88歳で生涯を閉じる。伝記と写真で振り返る恋と友情、数々の名シーン
シモーヌ・シニョレ
「1960年代初頭、アラン・ドロンとロミー・シュナイダー、そしてイヴ・モンタンとシモーヌ・シニョレはカップルぐるみのつきあいをしていた。アラン・ドロンがシモーヌ・シニョレと初共演したのはピエール・グラニエ・ドフェール監督の『帰らざる夜明け』で、ふたりは恋人役を演じた。2年後の1973年、シモーヌ・シニョレは『燃えつきた納屋』で敵役を演じるよう彼に頼んだ。スクリーンの中でふたりはどんなこともやってのけた。アラン・ドロンの映画界でのゴッドマザーがエドヴィージュ・フィエールなら、シモーヌ・シニョレは性別を超えて彼が気に入っていたパートナーだった。芸術面でも人間的にも、アラン・ドロンはシモーヌ・シニョレに敬意の念を抱いていた」
『太陽がいっぱい』
「1960年の映画『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンの写真はとても有名だ。犯罪者という部分を除けば主人公トム・リプリーのキャラクターとアラン・ドロンの間には類似性がある。主人公のようにアラン・ドロンはあまり裕福ではない家庭で育ち、4歳の時に両親が離婚し、何年も里親の家に預けられた。だからこそ、ルネ・クレマン監督の代表作のひとつであるこの作品で、リプリーが大富豪の息子フィリップから受けた屈辱をアラン・ドロンは敏感に感じとれたのかもしれない」
ジャン・ギャバン
「アラン・ドロンがよく語っていることだが、彼が俳優デビューする前に第一次インドシナ戦争で従軍していた頃、ジャン・ギャバン主演の1954年作品『現金に手を出すな』を見て、非常に感銘を受けたそうだ。以来ジャン・ギャバンは彼にとって絶対的なお手本であり、理想の俳優だった。アラン・ドロンはジャン・ギャバンのことを「ボス」と呼んでいた。初共演は1963年の『地下室のメロディー』で、その後1969年の『シシリアン』、1973年の『暗黒街のふたり』でも共演する。この頃ジャン・ギャバンはすでに全盛期を過ぎていたが、アラン・ドロンはポスターやプロモーションでもジャン・ギャバンが自分と同等の扱いとなることにこだわった。ふたりとも相手のカリスマ性や才能に敏感だった」