アラン・ドロン、88歳で生涯を閉じる。伝記と写真で振り返る恋と友情、数々の名シーン
アラン・ドロンが8月18日、家族に見守られ88歳で生涯を閉じた。彼はフランス映画界最後の"聖なる怪物"ともいう存在で、カルト的な人気を誇った俳優であった。 【写真】作品から家族、恋愛関係まで、アラン・ドロン伝説について語られたこと 2023年にアラン・ドロンの初の伝記がフランスで発売されている。デニツァ・バンチェヴァ著、『Alain Delon, amours et mémoires(アラン・ドロンの愛と思い出)』というタイトルで、記憶に残る数々の名シーンを通じてこの偉大な俳優の歩みをたどり、その真髄に迫ったとして話題を読んだ。 アラン・ドロンはビッグスター。それも、アート系映画よりも大衆娯楽映画中心に活躍しながらもカルト的な人気を得て、フランス映画史に名を刻んだスターだ。「一般的にはフィルム・ノワールやアクション映画の俳優と考えられているが、出演作は非常に幅広い。彼のキャリアはアメリカ流で、そこにはスノビズムも排他的な仲間意識もない」と作家のデニツァ・バンチェヴァは最新作『Alain Delon, amours et mémoires(アラン・ドロンの愛とメモワール)』の中で分析している。この本にはアラン・ドロン本人も前文を寄せ、個人所有の資料も提供するなど全面的に協力している。数々の独自取材(ブリジット・バルドー、ナタリー・ベイ、ジェーン・バーキン、ソフィア・ローレン等)を盛りこみながら作品から家族、恋愛関係まで、要するにアラン・ドロン伝説について丸ごと語った本だ。 「いまも世紀の二枚目スターとしてみなされているのは、現代的な俳優だったからでもある。見た目や演技に古臭ささを感じない。そして忘れられがちなのが彼の先見性だ。『鷹』や『危険なささやき』ではいち早く監督や製作なども兼務し、カメラの後ろに回った。風変わりな面もある。俳優はえてして大物スターと共演することを嫌がるものだ。彼は逆に共演したがった。ジャン・ギャバン、友人のジャン=ポール・ベルモンド、シモーヌ・シニョレやロミー・シュナイダーと演技で張りあうことを楽しんだのだ」とデニツァ・バンチェヴァは語る。多くの人々と関わった人生とキャリアの名シーンを著者と共にいくつか振り返ってみよう。