「罪を犯した少年」と「捨て犬・野良犬」が共に歩む再出発、涙の別れ…少年院の保護犬訓練プログラムに密着
少年の再犯率は3割、出院後の不安と再犯の誘惑
フーカとのお別れが迫る中、ツカサは出院後の不安を語る。「不安はやっぱり再犯。薬を使って暴行とか…」。
少年(20歳未満)の再犯率は、割を超えるという現実がある。少年の更生を阻む壁、そこには何があるのか。少年院を出た後、再び非行に走ってしまった浦屋創(うらや はじめ)さんはこう語る。 「仕事にやりがいが見出せなくて、自暴自棄でもういいやって」「ダメだなと思っていたけど、外に出ると誘惑がたくさんあって」 1回目の少年院を出た後、特殊詐欺の出し子をして逮捕。今度は、少年刑務所に収容された。出所した後は、建設会社で働き始めた。 仕事については「楽しい。いままでやったことのない仕事を任せてもらったりもする。結構やりがいを感じている」と話した。現在は仕事仲間にも恵まれ、法律の資格をとるために勉強をしているという。 「最後はたぶん自分自身だと思うけど、環境はすごく大事。いま同じような環境に置かれても、同じように再犯すると半分思う。誘惑もあるし、遊びに行きたいと思うけど、再犯したら失うものが大きすぎる。絶対、天秤にかけるようになっているので、再犯はしないですね」 保護犬の訓練を通じて、責任感や忍耐力を身に付ける八街少年院の取り組み。プログラムに参加した少年が再び少年院に入る割合は、およそ1割にとどまっている。
犬たちとの別れに涙する少年たち
すべての訓練が終わり、修了式を迎えた。ツカサは「僕はフーカのことを忘れない。フーカも自分のことを忘れないでください。ありがとうございました」と語り、メッセージを書いたバンダナを渡した。そこには、「フーカに幸あれ」と力強く書かれていた。 鋒山さんが、3匹の写真をまとめたスライドをプレゼントすると、少年たちは涙を流していた。ツカサは「寂しいですね」「1日でも早く新しい家庭が見つかって、一生幸せに暮らしてもらえればいい」と胸中を語った。 プログラムは終わったが、ツカサたちはこれからも少年院で罪と向き合い、更生を目指す日々が続く。そして、犬たちも新しい道に進んでいく。 「辛い事とかがあった時にプログラムの事を思い出していきたい」(ハヤト) 「このプログラムで学んだことを今後に活かして、最高の人生を勝ち取りたい」(ショウ) 「助けてくれることのありがたさを感じ、自分も人を支えられるような存在になりたい。これからの院生活を含め、社会生活を頑張りたい」(ツカサ) (テレビ朝日制作 テレメンタリー『きみと僕の歩み~少年院 保護犬との再出発~』より)