ツバメ、日本が居心地いい? 国内での越冬増加 温暖化や豊富な餌も影響か
朝晩が冷え込み、秋の深まりを感じる中、兵庫県宝塚市の阪急逆瀬川駅構内でツバメがひなの子育てにいそしんでいる。10月に入っても暖かい日が続き、国内で越冬する個体が繁殖に乗り出したとみられる。同様の事例は近年日本各地で確認されており、専門家は「温暖化が進めば国内の越冬個体は増えていく可能性はある」と指摘する。(風斗雅博) 【写真】駅構内の手すりに止まるツバメの親鳥 同駅の階段を上っていくと、頭上の窓際にツバメの巣が見える。親鳥がやってくると、生まれたてとみられる数羽のひなが必死に口を開けてえさをねだっている。 渡り鳥のツバメは、春になると餌が豊富な日本へと飛来。夏にかけて子育てをし、秋になると多くの個体が越冬のために東南アジアへ飛び立っていく。10月下旬に国内で繁殖活動をするのは珍しい光景だ。 NPO法人「バードリサーチ」(東京都国立市)の研究員、神山和夫さん(57)は国内越冬の一因に温暖化を挙げ、「暖かければ餌となる虫もいるため、国内にとどまる個体の確認例は増えている」と話す。近年、秋から冬にかけての繁殖が長野県や宮城県などの北国でも確認されているという。 気象庁によると、近畿の今年の夏(6~8月)の平均気温は1946年の統計開始以来、最高記録を更新。10月に入っても神戸市内では、最高気温が25度以上を記録した「夏日」が計23日あった。 一方で、なぜ秋冬に繁殖をするのかについて「ホルモンの分泌など体の仕組みの問題なので原因は分からない」と神山さん。外国では越冬地だった場所が繁殖地になった例もあり、「ツバメは他の鳥に比べて環境に応じて柔軟に習性を変えられるのかもしれない。温暖化が進めば、日本で冬を越す個体の確認例は今後増えていくのでは」と話している。