えっ、相続税がかからない財産があるの!?…相続手続きを控える人が知っておきたい「非課税財産」の基礎知識【相続専門税理士が解説】
相続財産には、すべて相続税が課税されるわけではなく、一部、相続税がかからない財産もあり、それを「非課税財産」といいます。具体的にみていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
相続財産には「相続税がかからないもの」がある
先日、父が急に亡くなってしまい、家族一同慌てふためいています。いま、手分けして遺産の整理をしているところなのですが、相続を経験した知り合いから「相続税の非課税財産」というものがあるから、きちんと調べたほうがいいとアドバイスされました。どのようなものなのか、具体的に教えてください。 50歳・男性(埼玉県ふじみ野市) 財産のなかには、相続税がかからないものがあり、これを「非課税財産」といいます。例として、お墓やお寺で使うものの多くは非課税となります。しかし、非常に高額なお墓などには、課税対象となるケースもあります。 ほかには、障害がある方、または障害がある方を扶養する方に支給される給付金を受け取る権利(心身障害者扶養共済制度に基づく給付金を受け取る権利)を受け継いだ場合、その給付金は非課税となります。 また、幼稚園や養護学校を経営していた方が亡くなった場合、その幼稚園や養護学校の建物や土地も、社会福祉のために相続税の課税対象外となる場合があります。 さらに、個人が所有している道路は「私道」と呼ばれますが、その私道を多くの通行人が利用している場合は「公共の用に供する道路」として税金は課税されません。 ほかには、遺産を寄付したり、公益団体に贈ったりする場合も、相続税の課税対象外となることがあります。しかし、寄付先はどんな団体でもいいというわけではなく、国や地方公共団体、公益法人に限られています。 また、故人の持ち家でその配偶者が暮らしていた場合、遺産分割協議がまとまるまでのあいだ、もしくは相続発生から6ヵ月間は、無償で住み続けることができます。この権利を「配偶者短期居住権」といい、こちらも税金はかかりません。
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