えっ、相続税がかからない財産があるの!?…相続手続きを控える人が知っておきたい「非課税財産」の基礎知識【相続専門税理士が解説】
弔慰金、死亡保険金…一部に「非課税枠」がある財産も
また、財産のなかには「みなし相続財産」というものがあります。これは、故人が生前から持っていた財産ではなく、死亡することによって受け取る財産のことを指します。例を挙げると弔慰金や死亡保険金などが「みなし相続財産」にあたります。 「みなし相続財産」は本来の相続財産ではないものの、相続税がかかることがあります。「かかることがある」といわれるのは、ある一定の金額まで相続税がかからない「非課税枠」が設けられているためです。 例えば、故人が働いていた会社から遺族へ支払われる「弔慰金」は、通常であれば死亡当時の普通給与の半年分、業務上の死亡であった場合は死亡当時の給与3年分の額が非課税となります。 死亡保険金の非課税枠は500万円に法定相続人の人数をかけた金額が非課税枠となり、その部分には相続税がかかりません。もし超えてしまった場合は、超える部分が相続税の課税対象となります。 死亡保険金の非課税枠を計算の際に注意すべきポイントとしては、相続放棄をした人も法定相続人に含まれる、という点があります。また、養子がいる場合は、実子がいれば1人、実子がいなければ2人まで法定相続人の数に含めることができます。 また、死亡退職金にも非課税枠があり、生命保険金と同じように500万円に法定相続人の人数をかけた金額までが非課税枠となります。 さらに、損害保険の死亡保険金も非課税枠があり、これもまた計算方法は生命保険金と同様です。 ここまで、さまざまな非課税枠について解説してきましたが、非課税枠はそれぞれのみなし相続財産ごとに適用されます。例をあげると、弔慰金には弔慰金の非課税枠が、保険金には保険金の非課税枠が適用されます。 非課税枠を超える部分は相続税の対象となり、相続財産として計上すべき金額が増えることを意味しています。 非課税枠、課税対象額をきちんと計算したうえで、相続税の申告をするようにしましょう。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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