石破総理は「トランプの犬になる」…”非現実な安保観”に苦笑い「石破には無理だ、安倍のようには信頼関係築けない」もしトラシナリオ
石破茂にとって「日米関係の見直し」は譲れない一線
ウクライナ支援やNATO(北大西洋条約機構)のあり方を見直し、中国や北朝鮮への政策なども大きく変わる可能性が高いのだ。数々の不確定要素が存在する中、緊密な日米関係を考える上でさらにリスクとなりそうなのは「石破ファクター」と呼ばれるものにある。石破茂首相は日米地位協定の見直し、「アジア版NATO」構想などを掲げてきた。所信表明演説では持論を封印したものの、安全保障を専門とする政治家・石破茂にとって「日米関係の見直し」は譲れない一線である。 まず、1960年に締結された日米地位協定に関しては、日本国内で生じてきた問題を踏まえた上で自衛隊が米国内で訓練することを念頭に入れる。米国で自衛隊が訓練する拠点を置くことになれば、必然的に地位協定の改定が迫られるためだ。ただ、バイデン政権は見直しに消極的で、「岩屋毅外相らも困難であることは理解している」(防衛省関係者)とされる。実際、石破首相は政府・与党内で議論を重ねてから机上に乗せていく慎重なプロセスを描く。
石破が描く「非現実観的な安保観」
一方、トランプ氏が再登板ならば事態は一変するとの見方は強い。トランプ氏は対中国政策を優先させるとみられるが、日本をはじめとする同盟国には「相応の負担」を求めるはずだからだ。岸田文雄政権時代に防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%にする防衛力強化方針を決定したが、トランプ氏が返り咲けばスピードや量・質をさらに要求してくることも予想される。石破首相が掲げる地位協定改定について言えば、「相応の負担」のバーターとして一部を前進させる“交渉”が出てくる可能性はあり得る。 ただ、もう1つの「アジア版NATO」構想に関しては、実現困難であるとの見方は変わらない。トランプ氏はNATO加盟国の防衛費負担額が不十分であるとの認識を示し、十分に支払わなければ防衛義務を順守しないとの立場を示してきた。その「アジア版」構想を石破首相が目指しても、トランプ政権は関与しないとの冷めた見方が強い。 加えて、アジア版NATOを実現するためには関係国が中国を共通の脅威と認識する必要がある。だが、インドやASEAN(東南アジア諸国連合)の支持も得られておらず、日米の専門家は押しなべて否定的だ。中国の習近平主席は台湾侵攻に意欲的とされるが、石破首相が描く安保観は「理論としてはわかるものの、現実的とは言えない」(政府関係者)とみられている。
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