「余命2年」宣告から7年超 アスベスト原因のがん・中皮腫で「呼吸するのも苦しい」 仲間の遺志継ぎ患者同士の交流続ける男性「僕より先に死なないで」
かつて、建物の断熱材などに使われていた「アスベスト」。知らず知らずのうちに吸い込み、がんを発症する人も多くいます。 ■【動画で見る】「余命2年」宣告から7年超 アスベスト原因のがん・中皮腫で「呼吸するのも苦しい」 仲間の遺志継ぎ患者同士の交流続ける男性 余命宣告を受けてから、同じ病気で苦しむ患者たちと励ましあい、生きる希望を持ちたいと活動を続ける男性の姿を追いました。
■ある男性との出会い…患者の未来のために
2018年4月。この日、名古屋で行われたのは、同じ病気で苦しむ患者や家族の交流会です。 【右田孝雄さん】「一つだけお願いがあります。僕より先に死なないでください。僕は死ぬまで元気ですから」 右田孝雄さん(59歳)は2016年、アスベストが原因とされる特有のがん「中皮腫」で、余命2年と告げられました。 断熱性が高く、耐久性に優れていることから、かつては“奇跡の鉱物”と呼ばれたアスベスト。駅や学校など、私たちの身近な建物にも多く使われましたが、発がん性が問題となり、2004年に原則使用禁止に。 中皮腫はアスベストを吸ってから発症するまで一般的に数十年潜伏することから、今も年間1500人以上が亡くなっています。 右田さんは、同じような境遇に苦しむ患者のもとを訪れて不安を分かちあい、励ましあっています。そのきっかけは、一人の男性との出会いでした。
【栗田英司さん】「(中皮腫で)余命1年といわれて、結局、再発を繰り返しながら4回手術して今日まで生きているので。余命1年といわれてもそんなにくじける必要はないと思いますね」 栗田英司さんは、余命宣告を受けてから20年近く生き続け、「患者さんの力になりたい」と、右田さんと共に全国各地を回りました。 がんが肺や肝臓に転移しても、入退院を繰り返しながら、できる限りのことをやり続けました。 【栗田英司さん】「僕は残された命は短いかもしれないけど、自分の家族、友達、日本とか地域社会のために、アスベストという問題に対して自分が今できる最善のことは何かといったら、この活動しかないわけですよね」 2人は、治療法が少ない中皮腫の医療体制の充実を国に要望するなど、“患者の未来”のために動き続けました。
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