知るほどに深く面白い! “大人の遊び”「香道」の世界とは?
モテる男には和のたしなみも大切だと、小誌・石井編集長(50歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載です。今回のテーマは「香道」。前編では香道の歴史と内容について学びます。 モテる旦那に必要なことはコチラ!
かねてから「和のたしなみを学びたい!」と熱望していた石井洋編集長が、和の達人から様々な知識と心得を学び、旦那、つまり一枚上手の上級なオヤジを目指す連載「モテる旦那養成講座」。案内役は、本物の日本文化体験を提供する「和塾」の田中康嗣代表です。 第18回のテーマは「香道」。香道は、茶道、華道、能などとともに中世に誕生、天然香木の香りを楽しみ、判別するという独自の文化を構築し、日本で唯一志野流が継承してきました。 難解だというイメージもある香道について、今回は最大の香道流派で550年の歴史を持つ志野流の第21世家元継承者である蜂谷宗苾(はちや・そうひつ)さんに教えを乞うことに。宗苾若宗匠、よろしくお願いします。
ヨーロッパでは香水、日本では香木を炷くことで香りを楽しんだ
田中康嗣さん(以下、田中) これまで日本の芸道として華道と茶道を学んできましたが、日本にはもうひとつ「香道」があります。茶道や華道ほど広く親しまれているものではないので、本や小説などを通じてうっすらと知っている程度の人が多いのではないでしょうか。そこで本日は香道の文化を守り続けてきた志野流の次期家元・宗苾若宗匠に、香道についてご教授いただきたいと思います。まずは歴史的な部分から伺えますか。 蜂谷宗苾さん(以下、蜂谷) 香道は室町時代、三条西実隆(さんじょうにし・さねたか)、そして、東山文化の中心人物である8代将軍・足利義政の同朋衆であった志野宗信(しの・そうしん)の手によって、華道・茶道と並ぶ芸道として体系化されたものです。古くは、香を炷(た)く文化は仏教の伝来とともに日本に入ってきて、その後、平安貴族や武士の香作法、禅の思想、そして日本の四季や死生観などが交わりながら世界に類稀な香文化として昇華されていきます。 田中 それが体系化され香道となったのが室町時代ということですね。 蜂谷 はい。でも、きっと太古の昔から、気分を落ち着かせたり、逆に高揚させたり、また、健康を促進したりすることは、日本のみならず世界中で行われていたでしょう。 お香を炷くと煙は上へ上へと立ちのぼっていきますよね。仏教に限らず目に見えない存在に感謝する、自分の思いを大いなる存在に届ける、神仏や自然界と自己を繋げる役目があったと考えられます。また天然の香木には邪気を祓い、心身を清浄に保つ力があるとされ、薬としての役割もあったようです。