93歳ひとり暮らしの1日の過ごし方。畑仕事、具だくさんのボルシチ、保存食づくりは元気の源
93歳の今でも仕事を続けている看護師の川嶋みどりさん。ここまで元気な源はどこにあるのでしょうか? 毎日、どのように過ごしているのか、どんなものを食べているのか、心の持ち方など、ひとり暮らしを楽しむコツを教えてもらいました。 【写真】梅仕事をする川嶋さん
ひとりでも食事の時間を決めておくと、1日が整いやすいです
現在、93歳でひとり暮らしの川嶋さん。マイペースに家事や料理をし、庭の収穫物で保存食をつくったりと、ひとり暮らしを満喫しています。 「朝は、5時半ぐらいに起床し、身支度をします。顔を洗った後、自分で考えたストレッチ体操をし、あ~って1オクターブ声を出して発声練習。それから、高齢者の口と舌の運動になるパタカラ体操をし、早口言葉を2つ言って、童謡を2曲歌います。口を動かすことが脳にも大切だと考え、毎日洗面所でやっています」 それから、雨が降っていなければ自宅の前、ご近所の家の前の道路を掃きます。この掃除がササっとできるかどうかが、川嶋さんの元気のバロメーター。7時半に朝食を食べ、9時半ごろから仕事を始め、13時に昼食。再び仕事を始めて、16時半にお茶の時間。この休憩は1日のお楽しみで、好きなお茶を飲んで果物を食べたりしてリラックスします。また仕事に戻り、18時半になったら夕食をつくり始め、19時半に食べます。 コロナ禍で外食が減り、ほぼ毎日自炊に。次男が近くに住んでいるので、夕食はよく一緒に食べるそうです。 「夕食後はテレビを見たり、入浴したりして、10時には就寝。1日のタイムスケジュールは、大体いつも同じです。毎日、メリハリをつけて、規則正しく暮らすことが元気の源です。食事に時間を決めると、スケジュールが整いやすいですね」
朝食のポタージュと大鍋でつくるボルシチは、簡単でおいしい
朝食には必ずポタージュを飲みます。具材はそのときにあった野菜を、下ごしらえして冷凍しておきます。たとえば、庭でできた小松菜をゆでて、茎はおひたしで食べますが、葉はミキサーで柔らかくし冷凍。朝、タマネギとニンニクのみじん切りを炒めて塩コショウで味つけをし、冷凍小松菜を入れて、牛乳を加えます。 あっという間に、自家製ポタージュの完成。ほかにも、ジャガイモやカボチャをゆでて潰したもの、トウモロコシをゆでてミキサーにかけたものなどを冷凍しておきます。温かくしても冷たくしてもおいしいので、おすすめだそう。 よくつくるのが、得意料理のボルシチ。肉も野菜も取れるし、煮込むだけだから簡単です。 「大きな鍋に、牛肉、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、ニンニク、ローリエなどを入れてコトコト煮るだけです。具材は切らずに、かたまりのままがおすすめ。味つけは、トマトビューレと塩コショウだけです。1日目は、食べごたえのあるごろごろの具材をそのままに。2~3日してだんだん具材が溶けてきたら、ご飯を入れてカーシャに」 カーシャとは、ロシアやウクライナではおかゆという意味。ヨーグルトをたらしてもおいしいそう。大学院で教えていたときは、学生にもすすめていました。「お肉がどのくらい用意すればいいですか?」と学生から質問されると、「お財布と相談しながら、量も質も決めていいのよ。安いお肉でも、じっくり煮込めおいしくなりますよ」と答えていました。 今でも当時の教え子から、「先生、もう10年くらいつくっていますよ」と言われる、人気の料理です。 「結婚したばかりの頃、近くに映画監督の山本薩夫さんが住んでいました。お正月に、たくさんの俳優さんが年始の挨拶に来るんです。私は、俳優さん見たさに、暮れからお手伝いに(笑)。奥様が、毎年大鍋にボルシチをつくっていました。『お正月はお節料理を食べるから、少し変わったものが喜ばれるの』とおっしゃって、つくり方を教えてもらったのがきっかけです」 最初は、暮れの料理でしたが、おいしくて簡単なので、1年中つくるようになりました。