三菱初のスペシャリティカー「スタリオン」。当初145psから、ハイパワーウォーズの中で175psにバージョンアップ。【GTmemories 12 A183Aスタリオン ダイジェスト】
革新的なエクステリアで注目され、インタークーラーの装着で増強
モーターマガジン社が2024年5月30日に発行したムック、GT memories12「A183Aスタリオン」が好評を得ている。ここでは、そのダイジェスト版をお届けしよう。スタリオンは1982年5月に登場し1990年まで生産された日本を代表するハイパフォーマンスカーだ。連載第1回目は、G63B型2L直4ターボエンジンで145psを発生した前期型と、マイナーチェンジでインタークーラーターボとなり175psを発生したモデルだ。 【写真はこちら】ハイパフォーマンスカーの方程式に則って4輪ディスクブレーキを装備(全6枚) 昭和57(1982)年に三菱自工のフラッグシップスポーツとしてデビューしたのがスタリオンだ。それまでの三菱自工のフラッグシップと言えるクルマはランサーEX1800ターボ。トヨタ、日産が2Lオーバーのハイパフォーマンスカーを当たり前に投入する時代に、1800ccのランサーターボでは厳しい。そんな中にあって、威信をかけて投入されたクルマとも言える。 エクステリアは、全体のシルエットを大胆な前傾姿勢のウエッジシェイプとした。前傾30度のローアングルフロントウインドー、ボディ前後の側面の絞り込み、フラッシュサーフェスボディなどにより空気抵抗を抑えるスタイルが特徴的だ。 ボディと一体感のあるバンパー、リトラクタブルヘッドランプの採用も注目され、三菱自工はこれによる造形を「スーパースラントノーズ」と称した。それまでの三菱車と比べてかなり冒険したエクステリアと言えるだろう。 もちろん見た目だけにとどまらない。大型フロントエアロスカートによりフロントの揚力を低減したほか、リアにはダックテールを採用することにより、高速走行時の車体のリフトを抑えている。この効用は数値にも表れ、揚力係数:CL(フロント)=0.15、CL(リア)=0.11、空気抵抗係数:CD=0.35という優れた空力特性を実現した。
シリウス80はマイナーチェンジで175psに!
搭載されるエンジンも注目された。これはメカニズムの項で詳しく説明するが、GSR系には2L直4SOHC+ターボのシリウス80エンジンが搭載。最高出力は145ps/5500rpm、最大トルク22.0kgm/3000rpmを発生した。 主力は上記のターボエンジンになるが、GXという廉価版グレードには自然吸気の2L直4SOHCエンジンが搭載され、110ps/5500rpm、16.7kgm/3500rpmを発生した。トランスミッションは5速MTのほか、ターボ車にはオーバードライブ付き4速ATも用意され、静かでゆとりのある走行が楽しめた。 サスペンションは4輪ストラットの独立式(GXはリジッドリアサスペンション)で、4輪ベンチレーテッドブレーキを装着したのはハイパフォーマンスカーの方程式に則ったものと言えるだろう。 スタイリングでインパクトを与えたスタリオンだが、デビュー時でもパワー的にはライバルに比べてやや劣勢だった。そこで昭和58(1983)年7には一部変更が施され、GSRII/IIIの5速МT車に日本車として初の空冷式インタークーラーを備えて過給効率をアップしたモデルが追加され、最高出力は175ps/5500rpm、最大トルクは25.0/3500rpmまで向上した。 タイヤサイズもインタークーラーレス車の195/70HR14から215/60R15にサイズアップされている。このときにホイールも新デザインとなり精悍さを増している。 スタイリングに関しての変更はないが、細かい点では電動アンテナの採用、パッシングライト操作をワンタッチ化、ドアミラーを標準装備(フェンダーミラー車も併売)、シート記事の見直しや内装色の追加が行われている。