混戦模様の有馬記念…2020年の競馬界は”女傑の時代”だったが混乱の1年を締めくくるのは牝馬か牡馬か
中山の2500メートルはスタートしてすぐにコーナーに入るため、どの馬にとっても枠順が大きなカギとなる。できれば1枠2番、2枠4番、3枠6番、4枠8番と内めで後入れとなる偶数枠が理想的と思われるが、ラッキーライラックはスタートセンスもある。4枠7番なら許容範囲だろう。 管理する松永幹夫調教師は「福永騎手はコントロールがきいて乗りやすかった、と話していた。前走を使ったことで完全に仕上がった。いわゆる小脚が使えるのでトリッキーなコースにも対応できるし、2500メートルの距離も問題ない。名前通りに幸運を運んでくれた。G14勝はなかなかできない。あと1戦。ラッキーライラックの力を出せば、十分やれると思う。去年のリスグラシューのような競馬をイメージしている」と自信を持って臨む。 ただし過去にエリザベス女王杯からの直行組は1頭も勝っていないという不吉なデータがあることも記しておかねばならない。 他の牝馬ではエリザベス女王杯でラッキーライラックに続く2着に入ったサラキア(牝5)、オークス、秋華賞で連続2着、ジャパンカップで4着と相変わらずの安定感を示したカレンブーケドール(牝4)も有力候補である。 もちろん過去の有馬のデータが示す通りに牡馬が順当に勝つシナリオも十分に考えられる。単勝オッズで1番人気に支持されたのは7枠13番のフィエールマンだ。天皇賞・春を連覇するなどG13勝をマーク、前走の天皇賞・秋の2着からの出走となる。手綱を握るのは今年202勝しているリーディングジョッキーのルメール騎手。ルメール騎手は今年G18勝。有馬に勝てば年間G1最多勝記録を更新することになる。枠順が決まった後には「ちょっと外枠ですね。でも距離は長いし後ろの方を走っていますから13番はいい枠番。自信がありますね」とコメントしている。 他にも牡馬では、ジャパンカップで見せ場を作ったキセキ(牡6)、武豊騎乗の復調気配のワールドプレミア(牡4)、一昨年の覇者で中山コースが得意のブラストワンピース(牡5)もチャンスをうかがう。 有馬記念と言えば、オグリキャップ、ディープインパクト、オルフェーヴル、キタサンブラックなど、超大物が大団円で終わるのがひとつのパターンだが、今年は、スターホースは不在。3連単10万超えも過去10年で2回ある“そこそこ荒れる有馬”でドラマの主役となるのはどの馬だろうか。