注射せずに「インフルエンザ」のワクチン接種が可能に “経鼻タイプ”が今シーズンから開始
フルミストは日本でも使える?
編集部: 今まで伺ったお話はアメリカでのフルミストの仕様についてですが、日本でもフルミストを利用することができるのでしょうか? 中路先生: 日本では、今シーズンから製薬会社の第一三共が「フルミスト点鼻液」の販売を開始しています。鼻から接種するインフルエンザワクチンの発売は、日本では初めてとのことです。接種対象年齢はアメリカでの年齢と異なり、2歳以上19歳未満です。なお、フルミストは、イギリスのアストラゼネカの子会社が開発したワクチンで、2023年3月に日本での製造販売承認が取得されています。 今回は季節性インフルエンザA型で2種、B型で1種の3種類のウイルスに効果がある「3価ワクチン」を開発し、2024年8月に厚生労働省から一部変更承認されていました。
今回のニュースへの受け止めは?
編集部: FDAがフルミストを自ら、もしくは介護者が投与することを初めて承認したことへの受け止めを教えてください。 中路先生: 今回、経鼻ワクチンが承認されたことで、季節性インフルエンザの予防における新たな選択枝が増えたことの意義は大きいと考えます。年齢などの使用にあたりいくつかの制限はありますが、予防効果が約1年と長く持続する点や、実際の流行株がワクチン株と異なっても発症を軽減する効果も期待されています。ただし、生ワクチンを経鼻投与するため鼻閉・鼻水などの上気道炎の症状は、従来の注射より発現する頻度が高いことも知っておく必要があるでしょう。
編集部まとめ
鼻腔に吹き付けるタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」を自ら、もしくは介護者が投与することを、FDAが初めて承認しました。日本でも2歳以上19歳未満を対象に今シーズンから提供されており、注射に苦手意識を持つ子どもにとって接種の選択肢が広がりそうです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
監修医師:
中路 幸之助 先生(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。