「大腸がん」のスクリーニング検査は何歳から受けるべき? 海外論文で学ぶオススメの開始年齢
オーストリアのウィーン医科大学らの研究グループは、2008~2018年にオーストリアで大腸がん内視鏡スクリーニングを受けた人のデータを分析したところ、「50歳以上の人では進行した大腸腺腫の有病率が減少傾向を示した一方で、自覚症状がない50歳未満の人では増加傾向を示した」と発表しました。この内容について、甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
発表した研究内容とは?
編集部: 今回、オーストリアのウィーン医科大学らによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。 甲斐沼先生: 今回紹介する研究は、オーストリアのウィーン医科大学らの研究グループによるもので、成果は学術雑誌「JAMA Network Open」に掲載されています。 欧米諸国では、若い年代の大腸がんの発症率・死亡率の増加が懸念されていますが、スクリーニングの対象年齢を何歳まで下げるべきかについては明確なエビデンスがありませんでした。そこで研究グループは、2008~2018年にオーストリアの結腸内視鏡スクリーニングプログラムに登録されていた29万6170人を対象に、データの分析をおこないました。29万6170人のうち、3.7%の1万1103人が50歳未満でした。 分析の結果、対象の21.4%の6万3550人から腺腫が1つ以上検出されました。50歳未満の10.5%の1166人から1つ以上の腺腫が、3.9%の389人から進行腺腫が見つかっています。また、50歳以上では21.9%の6万2384人から腺腫が、6.9%の1万9680人から進行腺腫が見つかりました。腺腫の有病率は、男性では40~44歳が14.2%、45~49歳は17.1%、50~54歳は20.2%という結果を示し、女性では40~44歳が8.1%、45~49歳は10.2%、50~54歳は12.4%でした。腺腫の有病率は1988年以後どの年代でも増加する傾向を示しました。 これらの結果から研究グループは、「大腸がんスクリーニングの開始年齢は男性が40歳、女性が50歳以上または55歳前後にする」と提案しています。