単なる怖い話だけで終わらない……怪奇!歌舞伎町怪談は屋上で生まれる
夏休みに入り、家庭に居場所のない中高生らがトー横界隈に集まっており、歌舞伎町はますます賑(にぎ)やかだ。日々、人の絶えない賑やかな歌舞伎町でも、夏はオカルトめいた噂話が出てくる。 歌舞伎町でホストになった元日本代表アスリート 驚きのビフォーアフター【写真】 「閉鎖空間のソープランドは心霊現象的な噂が出回りやすいですよね。建物を新しくできないし、窓もない部屋ばかり。私が働いていた店では、夏になると物置に荷物を置きに行く時とか、部屋を暗くして有線放送の音を切ってる時だけ、天井からコンコンってノックのような音が聞こえてました……」(ユキネ・仮名・28) 歌舞伎町には『第6トーアビル』など有名な心霊スポットがある。そんな中、最近、大久保公園近隣の暗い路地に佇(たたず)んでいたラブホテルが廃業。入り口付近に投げ捨てられたレッドカーペットの上に大量の空き缶が詰まれ、街灯の灯りも相まって異様な空気を醸(かも)し出している。 「霊感が強い友達とそのホテルの前を歩いた時、『歌舞伎町は全体的にヤバいけどとくにここはヤバい。歩いているだけで気分が悪くなる』って話してました。幽霊だけじゃなくて、生きている人の怨念や情念とかで、空気が淀(よど)んでいて息苦しかったみたいです」(ルリ・仮名・21) 事故物件のまとめサイトでその周辺を確認すると、実際に絞殺や首吊り自殺など、首回りを苦しめられて亡くなった人が多くいるようだ。このように幽霊による怪談が出てくる一方、単なる怖い話だけで終わらないのが歌舞伎町だ。 「昨年の夏かな。女の子とバーで飲んでて、明け方4時くらいに店の外に出たら、どこからともなく、女性のか細くて苦しそうな声が聞こえてきたんですよ。『ウ、ウゥ~』みたいな。人気(ひとけ)がなくて怖かったけど、唸(うな)り声にも聞こえたし、もしかしたらオーバードーズで危険な状態かもしれないし……。自販機で水を買って、スマホのライトを頼りに声のする方向に歩きました」(レン・仮名・24) 女の子をその場で待たせ、声を辿(たど)っていくと、すぐ近くの雑居ビルの間にある非常階段から声が聞こえてきたという。 「妙に暗いんですよ。上から聞こえる唸り声が息苦しそうな金切り声になったからますます心配で、5階まで階段を上りました。やっと最上階に着いたら……踊り場でホストが客の女の子と(笑)。僕も息が切れていて、同じくハァハァ言いながら腰振ってるホストから『すいません、ここ使ってるんで他の階を使ってください』って言われましたよ」(同前) 簡単に出入りできてしまう歌舞伎町の古いビルの屋上は、自殺スポットとして有名だが、同時に高ぶった男女の営みの場所にもなっているという。ホス狂いのコハル(仮名・25)は次のように話す。 「担当ホストとその後輩と徹夜で飲んでいたら、朝方には担当ホストが勝手に盛り上がってしまって。飲み屋を出た瞬間、彼が路上で始めようと脱ぎながら抱き着いてきたんです。咄嗟(とっさ)に後輩が『コハルさん! オレ、近くの屋上知ってるんで、そこまで行きましょう!』って誘導してくれました(笑)。やっぱホストって屋上に詳しいですよね~。 後でそのことを知人に話したら、何人か飛び降り自殺してるビルだって言われてビックリ! まぁ、その後も何度かその屋上で別のホストと……♡ こうやって歌舞伎町のセキュリティが緩い屋上の情報が広まっていくんですね」 今回は歌舞伎町で怪談話を取材したが、出てくるのはこの類いの話のほうが多かった。歌舞伎町は、心霊ではなく人間が怪現象を生み出す街なのである。 『FRIDAY』8月23日・30日合併号より
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