快進撃の大宮、GMが語るターニングポイント
――昨季の順位に照らし合わせれば、勝ち点53は4位のマリノス、5位のサガン鳥栖と同じです。対照的に開幕前の補強に関しては、最小限にとどめた感があります。ロンドン五輪代表の東が抜けながら、日本代表クラスを補強しない点に、サポーターからも不安の声が上がっていました。 「その点については、サポーターとの懇談会でもお話したんですけど、私がGMになってから、シーズンオフを3回迎えて、最初の2回で10人以上の選手を新しく獲っているんです。なので、新たに選手を獲得することのデメリットの方が、大きいかなと思いました。ある程度年齢的なバランスもよくなってきたし、その意味では熟成を重ねるほうがいいと判断しました」 ――覇者のサンフレッチェ広島、2位のベガルタ仙台と同様に継続を意識したわけですね。 「あとはウチの選手のレベルも上がってきたので、それより上のレベルの選手を獲るのもかなり難しくなったというのが現状です。そうした中で、選手の補強でチームを強化するのではなくて、逆に戦術というものを熟成させることによって、チーム力を上げることができればと考えました」 ――チームを牽引する2トップですが、活躍のし過ぎで夏の移籍市場においてオイルマネーで潤う中東のクラブからのオファーがあるのでは? 「今年の夏ですか?」 ――今年は大丈夫と? 「いえ、それはわからないです。それは私たちが決めることではないし、相手から来るものなので(笑)。今のところ話は来ていない、ということですね」 ――かつては、レッズのエメルソンやガンバ大阪でプレーした外国人選手が、2007年からの5シーズンで4人も引き抜かれるなど、J1で活躍したFW勢は、中東クラブの格好のターゲットとなっています。引き留め策といったものはすでに講じられているのでしょうか。 「それはいつも誠意を持って対応するということしかないでしょうね。今シーズンが終わるまで基本的にノヴァコヴィッチ、ズラタンの2人ともにウチとの契約がありますから」 ――それでも彼らが欲しいチームは、違約金を払ってでも獲得しにくると。 「そうなると思います。あとは本人たちがどうか、という意思のところですね」 ――2人は、今、どのような反応を見せているのでしょうか。 「2人とも日本で頑張っていこう、という気持ちを持ってくれているので。その意味では、他の日本人選手にもいい影響を与えてくれている。チームとしては、本当にいい流れになっていると思いますね」