石岡一、延長戦で涙 無念のサヨナラ負け(その1) /茨城
<2019 第91回センバツ高校野球> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は大会第3日の25日、21世紀枠で初出場の石岡一は1回戦で2年ぶり5回目の出場となる盛岡大付(岩手)と対戦した。主戦・岩本大地投手(3年)の力投で勝利が目前に迫ったが、九回2死から同点に追いつかれると、延長十一回に無念のサヨナラ負け。それでも勝利を目指して懸命に戦った選手たちに試合後、応援席から惜しみない拍手が送られた。【川崎健、洪〓香】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 石岡一 00100000100=2 00000000201=3 盛岡大付(延長十一回) 創部105年目で春夏通じて初の甲子園出場を決めた石岡一。同校の2~3年生や教職員ら約400人に加え、多くの卒業生や市民らが球場に駆け付けた三塁側の応援席は、「頑張れイシイチ」「絶対に勝とう」などと試合前から大きな盛り上がりを見せていた。 試合前、定期的に野球部にから揚げやコロッケを差し入れしている元石岡市教育長の石橋凱さん(76)は「普段通りのプレーをすれば絶対に勝機は見えてくる」、同校OBの兼子国広さん(69)は「まずはしっかり落ち着いて序盤を無失点に抑えてほしい」とそれぞれ期待を込めた。 試合は石岡一のペースで進んだ。三回2死三塁、酒井淳志左翼手(3年)の二ゴロが敵失を誘い、三塁走者が生還。待望の先制点を挙げると、応援団は青色のメガホンを頭上に突き上げ大歓声を上げた。 さらに、先発したエース右腕・岩本投手が八回まで相手打線を散発2安打に封じ込めると、応援席の父紳さん(48)は「今日は辛抱強く投げられている」と目を細めた。 1点リードで迎えた九回。2死一、三塁から武田翼右翼手(3年)の中前適時打で加点し、守備に就いた選手たち。「頑張れ(岩本)大地」「このまま逃げ切ろう」。総立ちの応援団はボルテージを上げた。オリジナルの野球部応援ソングを歌う同校OGで歌手の山本恵莉子さん(25)は「この流れで勝利をつかんでほしい」と願った。 だが甲子園は甘くなかった。勝利まであと1死から同点適時打を許し、土壇場で試合は振り出しに。さらに延長十一回には1死満塁のピンチから投ゴロを岩本投手が本塁へ悪送球し、サヨナラ負け。甲子園初勝利とはならなかったが、甲子園常連校相手に接戦を演じた選手たちに「よくやった」「また夏に戻ってこよう」と大健闘をたたえる温かい声がかけられた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■白球譜 ◇積極的な配球に手応え 中山颯太捕手(2年) 普段は緊張しやすく口数も少ない。昨秋から岩本大地投手(3年)とバッテリーを組むが、投球の組み立ては先輩の岩本投手に頼りがちだった。長打力はチーム上位だが、「甲子園で戦うには捕手のレベルを上げないと」と、出場決定から約2カ月間猛練習した。 キレ味鋭い岩本投手の変化球を捕球するため、打撃マシンなどを使い、全体練習後も手元でバウンドするボールを正面から受け続けた。二塁への素早い送球と正確さを求め、下半身強化にも努めた。 迎えた盛岡大付戦。岩本投手と八回までに11個の三振を積み重ね、被安打2と上々の出来。「昨秋のような球を背後に後逸する場面もなかった」。配球でも先輩を積極的にリード。「一、二回の奪三振5は自分の配球。甲子園でも通用するんだという手応えをつかめた」と話す。 二回にはチーム初安打を放ち攻守で自信を深めた。「緊迫した場面を楽しめた」。最後まで悔し涙は見せなかった。【川崎健】