ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
通常モデルのベンテイガで、非凡さが際立つ特性のひとつが俊敏さだ。ステアリングはベントレーらしい重さで、グリップとトラクションは適切だが、アクティブスタビライザーのおかげで戸惑いを覚えるほどロールがなく、コーナリングの精確さは、このボディにはタイトで曲がりくねりすぎていると思えるオンロードでも楽しめる。 とはいえ、ホイールベースが30cmほど伸びたら、その美点が維持される保証はない。事実、EWBは明らかに前寄りのバランスになっている。かすかではあるが、コーナーに入ればすぐにわかることだ。 ステアリングのセンターからの切りはじめは、おそらくレスポンスが少しスローになっている。同乗ではなく、自分で運転したいなら、通常モデルを選びたくなるだろう。カイエン的な元気さと英国車らしいマナー、世界屈指の感銘をもたらすクルマだ。 ただし、スポーツモードを選んで上下動をタイトにすると、EWBは長距離を素早く走れないクルマではなくなる。長いホイールベースが、通常モデルのステアリングのみごとなフィードバックや、ペースと手応えを損なうわけでもない。これほど直観的で活発な走りは、ロールスやメルセデスでは味わえない。 これは、ベンテイガの驚異的なホイールコントロールにも一因がある。高速コーナーのイン側にひどい波打ちなどがあっても断固として動じず、おそらくEWBは、通常のベンテイガよりも水平を保ってくれる。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
ミュルザンヌの弱点はセカンダリーライドで、すばらしいハンドリングも多少の埋め合わせになっただけだった。ベンテイガEWBのハンドリングは、後輪駆動サルーンのようなバランスでは劣るが、乗り心地に関しては段違いだ。高級な移動手段たることを最重要項目とするなら、大幅な改善をみている。 それでも、われわれがEWBを手に入れるなら、テストしたミュリナーに装着されていた22インチより小さいホイールを選びたい。それによってポットホールや踏み荒らされた舗装を目に見えてキャビンへ伝えなくなるという保証はない。しかし、低速での上質感はベリーグッドからグレートへ引き上げられるだろう。 今のままでは、メルセデスSクラスやBMW7シリーズに比べると見劣りする。だが、おもしろいことに、荒れた路面のいなし方は、カリナンのそれを思い出すことがある。そこはSUVだから、ということなのだろう。 プライマリーライドはこの上なくいい。夢見るようだ、と言ってもいい。高速道路では、エンジニアの最適解であるベントレーモードからコンフォートモードにスイッチするだろう。制御がある程度ルーズになるが、緩すぎるほどにはならない。 それ以外はどんな場合でも、ベントレーモードが理想的だ。ストレートでの安定性とコーナーでのロール耐性とのコンビネーションがすばらしい効果を生み出している。ルート上にある小さな窪みを乗り越えるとき、サスペンションの動き出しはほとんど感動もので、どんな速度域でもキャビンは静か。そして、不滅感が通底している。