投低打高傾向だった春のセンバツ。名スカウトが評価したドラフト候補10人
センバツ甲子園は、いよいよ準決勝、クライマックスを迎えようとしている。本来ならばすでに、散り散りバラバラになっているはずの各球団のスカウトが、まだ甲子園に残っている。なぜなら優勝候補の大阪桐蔭に今秋のドラフト候補が複数残っているからだ。もちろん全員ではないが、センバツのネット裏では珍しい風景である。かつてヤクルトの名スカウトとして多くの逸材を発掘してきた片岡宏雄氏に、その大阪桐蔭勢の評価も含めて、今大会で気になったドラフト候補をピックアップしてもらった。 「今大会は3、4人はドラフトにかかりそうな大阪桐蔭のメンバーを除くと、全体的に不作。特に投手にいの一番に挙げられそうな力を持ったドラフト候補は見当たらなかった。いわゆるA評価の選手がいないのだ。対照的に野手には、伸び幅に期待のできる好素材が目立った。大会が打撃戦になっていることでもわかるだろう。スカウトから見て投低打高の色合いが濃い大会となった」 片岡氏が投低打高と評したセンバツで高評価を与えたのは、大阪桐蔭の藤原恭大・外野手、根尾昂(あきら)・遊撃手と、日本航空石川の上田優弥・外野手、智弁和歌山の林晃汰・三塁手の4人だ。 「大阪桐蔭の藤原、根尾の2人は上位候補だ。藤原は、バッティングに重要な“間”を持っていて足がある。巨人のように次世代の外野手が不足しているチームは欲しいだろう。根尾は投手としても明秀日立戦で11奪三振で1失点完投までしてのけたが、プロではショートで育てたい。おそらくプロ側も、どのポジションでどう育てたいかというプランは固めているはず。大型ショートとして何年もチームの中軸になれる可能性を持った根尾は魅力的だ。上田は、なんといっても馬力。逆方向に運べる柔らかさと勝負強さも持つ。いわゆるプロが鍛えがいのある選手だ。林は肘を故障していたらしいが、一発の魅力もある」 片岡氏がリストアップした藤原、根尾、林の3人がベスト4に残っている。ここから先は優勝のかかった緊張感のある大舞台で、どれだけの結果を残せるかというプロの成功条件の部分が試されるだろう。 藤原は、今大会では4番に抜擢され、2回戦、3回戦とヒットを放っていたが、2安打4打点と爆発したのは準々決勝の花巻東戦だった。調子は右肩上がり。準決勝、決勝で、どこまでその爆発力を続けて見せることができるかも重要なポイントになる。