関西国際空港はなぜ「ロストバゲージ」がゼロなのか? 世界一の工夫を訊いた
海外の空港で、手荷物受取所のレーンに自分の荷物が流れてこなかったという話を聞くことは少なくありません。荷物が行方不明「ロストバゲージ」になると、時間も浪費しますし、往路どちらでも影響が大きくて気が滅入ります。 【写真】貴重なシーン…預けた後の「スーツケースの行方」 そもそも、なぜロストバゲージは起こるのでしょうか。国際空港は1日の航空機発着回数が多く、膨大な量の荷物の出し入れが必要になります。形も大きさもバラバラの荷物を識別するのはタグだけですから、ひとつくらいどこかにいってしまうこともありそう…。 ところが「関西国際空港」(泉佐野市・泉南市・田尻町)は、1994年の開港以来、同空港を起因とするロストバゲージ・ゼロを更新中とのこと。どのようにしてその記録を継続しているのか、同空港を運営する「関西エアポート」と地上業務に関するサービス全般をおこなうハンドリング会社のひとつである「CKTS」を取材しました。
◆ そもそもなぜ荷物が「無くなる」のか?
──まず、預けた手荷物はどのようなルートで航空機に積み込まれるのですか? チェックインカウンターで預けられた荷物は、4階からベルトコンベヤで1階の荷捌き場に運ばれます。荷物はスタッフの手によってコンテナに積み込まれ、ドーリー車で運搬されたコンテナを航空機に搭載します。積込時に個数・目的地を確認し、チェックイン時に預かった手荷物のデータと相違がないようしっかりとチェックをおこないます。 到着時は、その逆の工程で航空機から荷降ろしされた荷物コンテナがドーリー車で荷捌き場まで運ばれます。荷捌き場では、コンテナ内の荷物がスタッフの手作業で到着ベルトコンベヤに流されます。 ──そのなかで、荷物が行方不明になる原因はどこにあるのでしょうか。 一般論になりますが、 ・経由地での荷物の積み忘れや積み間違い ・手荷物タグの発行ミス(カウンターで行き先と違うタグが発行されてしまう) ・手荷物タグの紛失(タグが手荷物から外れ搭載する航空会社や行き先が不明になる) ・出発地で荷物を違う便に載せる積み間違い ・ベルトコンベヤからの落下…などが考えられます。