ボディコンテストで連覇を達成の26歳 世界を目指していた体操競技を諦め…見つけたフィットネスの道
「まだ気持ちを切り替えることができなくて、『次の目標は連覇です』とは、言い切ることができないのが実情です」。初優勝を遂げた1年前にそう語ってはいたものの、おそらくどこかのタイミングで心の準備が整ったのだろう、彼女は自身が上がるべきステージにしっかりと帰ってきた。 【写真】元体操選手・美田佳穂選手のしなやかな筋肉ボディ
8月11日、福井で開催されたオールジャパン・ミスフィットネス選手権。「ミスフィットネス」とは、衣装を身に着けて90秒以内のパフォーマンスを行う「パフォーマンスラウンド」、鍛えられた体型の完成度が審査対象となる「フィットネスラウンド」の2ラウンド制で争われる、動ける肉体美を競う競技である。 美田佳穂(みた・かほ/26)選手がミスフィットネスに初挑戦したのは2022年。この年は減量がうまくいかずに4位という結果に。翌23年度の大会参加は見送るつもりでいたが、前年の悔しさを晴らすために出場して見事に優勝。試合直後、メディアからの質問に答える形で美田選手の口から出たのが、冒頭の言葉である。 そして、今年も彼女はステージに立ち、1年前には言い切れなかった「連覇」を達成した。22年は肉体面の仕上がりに課題を感じ、昨年は昨年でパフォーマンスラウンドに不本意な部分があったという。もう一度、挑まなければならない理由が、彼女にはあった。 「去年のパフォーマンスラウンドでは、当初予定していたものよりも難度を落とした構成になってしまい、また(技の)ミスもありました。それが自分の中ですごく悔しかったんです。今年はパフォーマンスで絶対に失敗しない。そのことを一番の目標に掲げてきました。連覇できたこと以上に、その目標を達成できたことがうれしいです」 課題を必ず修正して次に進む。その悔いを残さない生き方は、大学生時代のある経験に起因しているのかもしれない。 2歳から体操競技を始め、中学からはトランポリンに転向。“世界”を目指して取り組むも、大学1年生のときに腰を負傷。引退を余儀なくされた。そんな美田選手が、新たに出会った競技がミスフィットネスだった。パリオリンピックの開催期間中に行われた、今年のオールジャパン選手権。かつての仲間たちの活躍も、大きな原動力となった。 「今回、オールジャパン選手権に臨むにあたって、オリンピックはすごく励みになりました。(トランポリン)日本代表は知っている選手ということもあって、すごく勇気をもらいました。今朝も、オリンピックの結果を確認してから会場に入ったんです。『私も頑張ろう!』という気持ちになれました」 スポーツには、スポーツでしか追えない夢がある。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介