iDeCoはどこで始めればいい? 口座管理手数料“無料”っておトクなの?
3.投資信託の手数料を重視する
投資信託で運用する場合、保有しているだけでかかってくる「信託報酬」と呼ばれる手数料があります。これが多いか少ないかは極めて重要です。なぜなら一定の手数料率で毎年自動的に自分の資産から引かれていきますので、iDeCoのように長い期間運用する場合にその差が非常に大きなものになってくるからです。ちなみにサラリーマンが積み立て上限一杯の2万3000円を毎月30年間積み立てた場合、信託報酬の手数料率が0.2%という安い商品と0.65%という高い商品で比較すれば、かかる手数料の金額の差は何と約57万円にもなります。いかに手数料の差が大きいかということです。
4.相談機能、WEB・コールセンターの使いやすさ
iDeCoの仕組みや理屈はよくわかったけど、実際に申し込みにあたって書類の書き方や細かいことを教えてもらわないと不安、という人が多いと思います。これはある意味当然のことです。将来にわたってお金を預け続けるわけですから、安心できるところでないと困ります。ところが残念ながらほとんどの金融機関は店舗の窓口では相談を受けていません。一部のメガバンクや地方銀行でしか相談機能がないのが現実です。そこでWEBやコールセンターがいかに使いやすいかということもとても重要なポイントです。
5.口座管理手数料は気にし過ぎない
一般の人がよく陥りがちなのは、口座管理手数料が安いとか無料ということで安易に決めてしまうことです。なぜなら投資信託の手数料と違ってこの手数料は数字が見えるのでわかりやすいからです。でも口座管理手数料というのは資産の額とは関係なく一定です。最も高いところと安いところの差は年間で5000円ぐらいですから、前述の例で30年間利用してもその差は15万円ぐらいです。投資信託の手数料の差と比べると大したことはありません。もちろん安いほうがいいのは当然ですが、どちらを優先して選ぶかということになると商品の手数料が安いラインナップの金融機関の方を選ぶべきでしょう。 このように、いくつかの基準で金融機関を選ぶことになりますが、一つ一つの金融機関に内容を問い合わせるのは大変です。そこで最近ではいくつかのサイトで金融機関の比較ができるようになっています。またファイナンシャルプランナーが、金融機関選びから申込書の書き方、どうやって掛け金を配分して運用したらよいかの考え方等についてもアドバイスするサービスをやっているところもあります。こうしたところを参考にしながら、iDeCoを始めるにあたってまず一番大切な金融機関選びを考えてみてはいかがでしょうか。 (経済コラムニスト・大江英樹) 日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行動経済学会会員。著書に『定年楽園』『その損の9割は避けれる』(三笠書房)『老後貧乏は避けられる』(文化出版局)、最新刊に『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社)など著書多数。 【ご参考】 ☆金融機関選びのための比較サイト 「iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ」 「個人型確定拠出年金ガイド」 ☆加入手続き相談ができるFPサイト 関東圏「みらい女性倶楽部」 近畿圏「株式会社 円満プランニング」