初夏は「水虫」が感染しやすい季節!やってはいけない6つのこと
市販薬で水虫は治る? 薬の選び方
増田:市販の水虫の塗り薬(外用薬)がたくさん販売されていますが、どれを選べばいいのでしょうか? 堀内先生:水虫の治療は、白癬菌の増殖を抑える抗真菌薬を用います。抗真菌薬には塗り薬(外用薬)と飲み薬(内服薬)がありますが、市販されているものは塗り薬のみです。飲み薬は医師の処方箋が必要です。 塗り薬には液剤、クリーム剤、軟膏などがありますが、効果に大きな差はありません。ポイントは、水虫の症状に合わせた選び方をすることです。 液剤は、乾きやすく、塗った後の使用感はよいですが、刺激性が強いので、ジュクジュクしたところに塗るとしみたり赤みが出たりすることがあります。 クリーム剤は、液剤より刺激が少なく、ベタつきにくいため最も多く処方されています。 軟膏は、ベタつきがありますが、クリームよりさらに刺激が最も少ないため、刺激を極力避けたい症状のときに使用することが多いです。 塗り薬は、お風呂上がりに塗るのが効果的です。趾の間、つま先、足裏、かかと、アキレス腱まで広範囲に塗ります。治療を続けていくと約2週間ほどで徐々に症状が減ってきますが、まだ菌は残っているので症状がなくなってから最低でも1カ月は塗り続けることが必要です。 水虫に似た病気もあるので、症状が改善しない場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。
水虫と間違えやすい皮膚の病気はこんなに…
増田:水虫かな? と思っても、市販薬で治らなければ、医師に診断してもらうことが大切ですね。 堀内先生:水虫を疑って皮膚科を受診した人のうち約3分の1の人は水虫ではなく、以下のような皮膚の病気と診断されています。 接触皮膚炎:外部の物質が皮膚に触れて起こる炎症。刺激性のものとアレルギー性のものとがあり、かゆみや湿疹、赤い腫れなどの症状が見られます。 皮膚カンジダ症:常在菌のカンジダ属の真菌に感染して起こります。症状はかゆみや発疹、赤み、腫れなど。 汗疱(かんぽう):水疱が手のひらや指、足の裏や足の指に多く発生。刺激性接触皮膚炎を伴うと、範囲が広がって強いかゆみが伴うことも。 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや足の裏に小さな水ぶくれが多数でき、膿がたまり皮膚が赤くなります。よくなったり悪くなったりを繰り返します。軽いかゆみを伴うことも。 pitted keratolysis (点状角質融解症):足の趾の腹や足裏の角質層がボコボコと虫食い状に浅く陥凹した状態。足の多汗症を伴うことが多く悪臭を放つことも。靴はよく乾燥させることが大事。 乾癬(かんせん):皮膚が赤くなって盛り上がり、慢性的に皮膚の表面に銀白色の粉のようなものができて、剝がれ落ちます。 増田:水虫かどうかは、症状だけでは確定できないのですね? 堀内先生:皮膚科では皮膚表面の角質や爪の一部を取り、白癬菌がいるかどうかを顕微鏡で見て診断します。最近では、爪水虫の菌をチェックする検査キットも使われることがあります。 皮膚科の治療では、足水虫には抗真菌薬の塗り薬(外用薬)、爪水虫には飲み薬もあります。抗真菌薬の外用薬は、市販薬より薬の種類も豊富ですし、部位や症状にあった薬や塗り方、生活習慣のアドバイスもできるので、本当に水虫かどうかを診断するためにも受診してください。 秋葉原スキンクリニック院長 堀内祐紀(ほりうちゆうき)先生 東京女子医科大学医学部医学科卒業。同年、東京女子医科大学病院皮膚科学教室入局。JR東京総合病院皮膚科、さいたま協同病院皮膚科ほかを経て、2007年現クリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本医学脱毛学会理事。Allergan Medical Institute Japan Fuculty、一般社団法人美容皮膚エキスパートナース育成協会代表理事、一般社団法人Aesthetic Medical Academy理事。 取材・文/増田美加 イラスト/大内郁美 企画・編集/木村美紀(yoi)