“採算とれない” 北九州市の小児救急医療最前線 子育て環境13年連続政令市トップの理由 【福岡発】
小児医療には親の不安解消も重要
小児医療の現場では、子供の治療だけでなく親の不安を解消することも医師の大事な役割だ。「ほとんどの場合、親の心配があっての受診が多いので、絶対、何かあるはず。『実はちょっと吐きそうになってた』とか、『なんか変なこと言ってた』とか問診票ではあまり分からないことを医師が情報として引き出し、そこにアプローチしていかないといけない。『風邪ですよ』で家に返しても結局、親御さんは心配を拭えないまま帰るだけになる」と小林医師は語る。 小児救急には日付が変わっても外来患者が訪れ、小林医師がようやく休憩できたのは夜明けも近い午前5時すぎ。 夕方5時から翌朝8時までの間に小児救急センターを訪れた外来患者は40人だった。
採算とれずも次世代育てる小児医療
子供の医療というのは採算性がとれない部門と岡本好司院長は医療の実態を率直に語る。「だけど、今の日本をこれから支えていく子供を大事にしないと全く意味がないので」と小児医療の重要性を強調した。 一般の医療に比べて小児医療は診察や処置に時間と労力がかかる。その一方で、診療報酬の点数が低く、薬の量も少ないため医療機関にとっては負担が大きいのが実情だが北九州市は、市立の医療機関に可能な限りの助成を続けている。さらに、小児科医も交えた専門部会では、2023年から医師の減少や高齢化など小児救急体制の課題解決へ議論を本格化しているところだ。 「同じ社会に貢献するのであれば、次の世代を育てていける小児の方がやっていてやりがいもあるし、面白いですよね」と静かに語る小林医師。北九州市の小児救急医療の最前線では、将来を担う子供たちの命と子育ての安心を守る不断の取り組みが続いている。 (テレビ西日本)
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