米大統領選、トランプ氏勝利なら円安・株高-16年の再現には疑問
(ブルームバーグ): 5日の米国大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利した場合、日本の金融市場ではドル買い・円売り、株買いが最初の反応になり、民主党のハリス副大統領が当選すれば円買いが進むとみられている。
ただ、市場への影響は議会選挙の結果によっても大きく変わるため多くのシナリオが考えられるほか、選挙結果そのものを巡って混乱が広がる場合には相場のボラティリティーが高まる恐れもある。ソシエテ・ジェネラルは開票結果の発表に円相場が「激しく」反応し、1ドル=140円から160円の間で変動するリスクがあるとみている。
米国で開票が進む間、規模と流動性のある日本市場の動きはとりわけ注目される。アジアの取引時間帯はドル円相場に対する注意が続きそうだ。
市場関係者の見方をまとめると、トランプ氏が勝てば同氏が主張する法人税減税や規制緩和が景気と企業利益を押し上げると期待され、為替市場ではドル買いが強まる見通し。同時に株式市場では米国へのエクスポージャーが大きい企業の株価が上昇する可能性がある。自動車や電機など輸出セクターだ。
しかし、トランプ氏は新たな関税の導入も政策の柱に掲げており、景気の先行き不透明感が徐々に高まって株高は短期で終わるかもしれない。市場は既にトランプ氏勝利の可能性を相当織り込んだとの指摘もあり、2016年の大統領選後に起きたトランプラリーの再現は期待しにくい状況だ。
一方、与党民主党のハリス氏が勝つとバイデン政権の経済政策を継承する見通しで、米経済が軟着陸に向かうとの見方が標準的なシナリオになる。連邦準備制度理事会(FRB)の緩やかな利下げ継続、日米金利差の縮小で為替は円高に振れ、日本株にはややネガティブとの見方が多い。トランプ氏が以前実施した法人税率引き下げの巻き戻しをハリス氏が目指していることも、株価の下押し要因になりそうだ。
各種世論調査によると、大統領選は接戦だ。そうした中でも、選挙結果の予測市場であるポリマーケットの値動きやトランプ氏が立ち上げたソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」を提供するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ株の上昇、最近のドルや米長期金利の上昇を見る限り、一部の投資家はトランプ氏勝利を見込んだ取引を既に行っている可能性が高い。