米大統領選、トランプ氏勝利なら円安・株高-16年の再現には疑問
1ドル=160円
ドル・円相場は10月最終週に3カ月ぶりの高値となる1ドル=153円88銭まで上昇した。仏銀クレディ・アグリコルやみずほ銀行のストラテジストは、トランプ氏が返り咲いた場合、ドルは160円程度まで上昇(円が下落)すると予想している。7月初旬に付けた38年ぶりのドル高・円安水準である161円95銭に迫る水準だ。
一方、ハリス氏勝利なら経済政策は現状維持となり、米経済のソフトランディングを目指す公算が大きい。インフレが急加速する場合を除いて米当局には利下げを継続する道が開かれ、金利格差が縮小する円は押し上げられる可能性が高い。
ソシエテのG10為替戦略責任者、キット・ジャックス氏は、ドル円相場の動きは米国債市場次第だとみる。トランプ氏勝利で一段と拡張的な財政政策がとられ、国債増発とインフレを招くリスクから過去数週間に米国債は売られていると、ジャックス氏は指摘した。
「米国債市場のセンチメントは現時点で極めて弱気だ。それが反発すれば、円相場への影響も極めて大きくなるだろう」とジャックス氏はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで述べ、そのようなシナリオが起きれば、円は対ドルで年初来高値付近の140円へと上昇する可能性があると予想した。
また、野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「ハリス候補の逆転勝利となれば、市場は金利低下・ドル安で反応し、1ドル=150円割れを試しにいく展開が予想される」とリポートに記述。トランプ氏が勝利して共和党が上下両院を支配する「レッド・スウィープ」が実現に向かえば、ドル・円は155円超えを試すシナリオで、日本の通貨当局の口先介入などが注目されるとの見方を示した。
デリバティブ取引の一つで、オプションから算出されるドル・円の予想変動率(インプライドボラティリティー)は1週間物で18%に上昇し、8月初旬来の高水準に達した。
クレディ・アグリコルは円相場について、トランプ氏が勝利すればネガティブ、ハリス氏勝利ならポジティブとみており、トランプ氏の関税が日本にとってダブルパンチになると警戒している。