米大統領選、トランプ氏勝利なら円安・株高-16年のラリー再現は疑問
1ドル=160円
ドル・円相場は10月最終週に3カ月ぶりの高値となる1ドル=153円88銭まで上昇した。仏銀クレディ・アグリコルやみずほ銀行のストラテジストは、トランプ氏が返り咲いた場合、ドルは160円程度まで上昇(円が下落)すると予想している。7月初旬に付けた38年ぶりのドル高・円安水準である161円95銭に迫る水準だ。
また、デリバティブ取引の一つで、オプションから算出されるドル・円の予想変動率(インプライドボラティリティー)は1週間物で18%に上昇し、8月初旬来の高水準に達した。
クレディ・アグリコルは円相場について、トランプ氏が勝利すればネガティブ、ハリス氏勝利ならポジティブとみており、トランプ氏の関税が日本にとってダブルパンチになると警戒している。
トランプ関税
トランプ氏は中国からの輸入品に60%の関税を課し、それ以外の国には一律10-20%をかける考えを示している。対中関税は既に停滞している中国景気のさらなる下押し要因となりかねず、日本にとって最大の輸出相手国である中国の景気減速が日本企業に与える影響は無視できない。
中国以外にも関税を課し、各国が報復関税に踏み切れば世界景気への影響は計り知れず、海外展開を加速する日本の自動車や電機、機械企業は大きな打撃を被ることになる。独アリアンツ・グローバル・インベスターズのポートフォリオマネジャー、ステファン・リットナー氏は「日本のアセットにとっては関税が重大なリスク」と語る。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、「トランプ関税」の発動リスクが高まった場合に日本株への深刻な影響を警戒する一人。18年にトランプ氏の対中関税実施で米中貿易摩擦が激化した際、「中国へのエクスポージャーに関係なく、ほぼ全ての日本株が売られた」と同氏は指摘する。実際、同年に東証33業種は電気・ガスを除く32業種が下げた。