米大統領選、トランプ氏勝利なら円安・株高-16年のラリー再現は疑問
事前の織り込み
そもそも、トランプ氏の勝利で株高が起きても長続きしないとの見方もある。トランプ氏勝利が市場関係者にとって想定外だった16年とは異なり、民主党候補がバイデン大統領からハリス氏に代わる前からトランプ氏優勢のシナリオは徐々に相場で消化されてきたためだ。
16年の大統領選直後、アジア市場ではトランプ氏の貿易政策への懸念や政策全般への不透明感から株価は一時急落。リスク回避による円買いも進んだが、すぐに同氏の減税や規制緩和への期待感から相場は反転し、大幅な株高とドル高・円安、長期金利の上昇をもたらした。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの駱正彦シニアストラテジストは、足元では米長期金利が約60-70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)既に上昇していると指摘。16年の選挙後の70-80bp程度の上昇と比べ「かなり前倒しでトランプトレードが行われた」可能性があり、トランプ氏が勝利しても株高・円安は短期的な動きにとどまると読む。
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストも、必ずしもトランプ氏勝利で株高とはならないと予測。これまでは大統領選挙後に株価が上昇するケースが多かったが、今回は既に株高が進んでいる上、トランプ氏当選に伴う米長期金利の上昇に株式市場が耐えられないリスクがあるとみている。
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Hideyuki Sano, Mia Glass