Jリーグでチャントを歌える日はいつ訪れるのか…新型コロナ新規感染者減少で応援方法の規制緩和も
屋外になれば状況が変わってくるが、それでも大きな声やチャントを介して口腔内にある小さな飛沫が飛び、空気感染を引き起こす恐れを考えればハードルは高くなる。 現在も一部で行われている、ワクチン2回接種後2週間以上経過した人と、陰性が確認された観客だけを集めたエリアをスタンドに設けた上で声出しを解禁するなど、さまざまな実証実験を介してエビデンスを収集していく方法はある。それでも村井チェアマンは「不用意に実施して、危険性だけがハイライトされる状況はサッカー界にとってよくない」と慎重な姿勢を見せる。 新型コロナウイルス感染症対策分科会の委員に名を連ねる、東邦大学医学部の舘田一博教授はスポーツ観戦で声を出す大切さを理解しながらこう語った。 「個人的にはまずお客さんを満席で入れて、スポーツ観戦を楽しめるような状態を作りたい。その先に声を出して、あるいはマスクを外して、というのがあるのではないかと」 ワクチンの3回目接種や飲み薬の市販開始など、新型コロナウイルス禍をめぐる状況をさらにポジティブに変える動きもある。それらを踏まえながらも、座長の賀来特任教授は「もうちょっと時間がかかるのではないか」と今後の見通しを語った。 いずれにしても、最終的に目指していくのは安全および安心が保証されたスタジアム以外にない。緩和される見通しとなったクラブフラッグ、そしてタオルマフラーを振り回す応援方法も通過点。再び満員で埋まるスタンドの先に待つ、コロナ禍前までは当たり前だった日常を完全に取り戻すために、Jリーグはさまざまなチャレンジを積み重ねていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)