15日にかけて出現ピーク 今年の「ふたご座流星群」がイチオシな理由
チリの広がり方で変わる“性格”
流星群の性質は、このチリの広がり方で大きく変わってきます。 分かりやすいのは、出現数でしょう。チリが密なほど、短時間にたくさんの流星が発生することになります。
また、“チリの帯”が広がる範囲も、重要です。(帯は端の方にいくほどチリの密集度が落ちるので、実際には「帯のうちで、ある程度の密集度がある部分の範囲」が重要になります) まず、帯の太さと向きで、流星群が観測できる期間が決まります。帯が太いほど、地球がその中を通過する(つまり、流星が発生する)期間が長くなります。帯の太さが同じ場合、その向きが地球軌道に垂直になっているよりも、互いの軌道に沿うようになっている方が、地球が帯の中を抜ける時間が長くなります。
帯の向きは、流星群が観測できる時間帯にも関わります。地球から見て、太陽の反対方向から帯が伸びてチリが進んでくれば、チリは夜空に飛び込んでくることになります。逆に、太陽方向からチリが飛んでくると、青空の中で流星が出現することになり、あまりよく見えません。
帯の長さはどうでしょうか? まずは、チリが噴き出したばかりで母天体の周辺にしかない(帯が短い状態)を考えてみましょう。母天体が近くにある時と、母天体が離れている時で、チリの量が変わってくるので、年によって出現数にムラがある流星群になります。 (このとき、母天体やその軌道、活動履歴などが分かっていれば、年ごとの出現数の増減を予想することができますが、十分に情報がなく、“予期せぬ突発出現”が起こることもあります) 長い時間が経ち、母天体が何度も太陽に接近してチリを放出するとやがて、チリが拡散して帯が伸びていき、母天体の軌道上を一周つながるようになります。こうなると、いつ地球が横切ってもそこにチリがあるので、毎年安定して出現する流星群になります。
流星一つひとつの速さ、明るさなどの性質は、チリが地球に飛び込む速度とチリの大きさに関係します。通常、チリのサイズが大きいほど、また速く飛び込むほど、明るく光ります。 ただし、流星が速すぎると一瞬のうちに消えてしまうので、観測が難しいという側面もあります。たとえばグループで一緒に観測している時に、お互い違う方向を見ながら流星が見えた瞬間に声を出す(筆者は「シュート!」と声を出します。Shooting starだから)ようにしても、仲間が反応した時にはすでに消えていたりするのです。