15日にかけて出現ピーク 今年の「ふたご座流星群」がイチオシな理由
ふたご座群は地味だけど“安定感”抜群
流星群の“性格”を決める様々な要因が見えてきました。(実際には、チリの帯の中にもっと複雑な濃淡があったり、いくつかの要素が絡み合ったりしますが、基本的な考え方は変わりません)。 ふたご座流星群は、ある程度チリがまとまった部分の帯が十分に太いので数日間にわたって観測でき、その中心の密集度が高いためピーク時により多くの流星が出現し、帯が太陽とほぼ正反対のふたご座の方向から伸びてきているので一晩中観測でき、帯が母天体 の軌道上にくまなく伸びているので毎年安定して観測でき、地球に飛び込んでくるチリが速すぎないのでグループ観測で数を伸ばすことができ、その分少し地味だけれどそこそこ明るい流星も出現する──ということになります。 ふたご座流星群と同様に出現数が多く「三大流星群」に数えられる「ペルセウス座流星群」(8月)と「しぶんぎ座流星群」(1月)、加えて2001年に大出現した「しし座流星群」(11月)あたりと比較してみましょう。
ペルセウス座流星群は、明るい流星が多いものの、速すぎるためグループで声を掛け合いながら個人の観測数を増やすのが少し難しく、またチリが太陽にやや近い方から飛び込んでくるため、夜半前はあまり見えません。 しぶんぎ座流星群は、帯が細く、かつ地球軌道の垂直に近い感じで伸びているので、極端に短いピーク時以外はほとんど見えず、そのピークが日本の昼間の時間帯になってしまうこともあります。 しし座流星群は、チリが母天体の周辺に集中しているので、母天体が地球に接近する約33年周期の前後数年間で出現数が伸びますが、通常の年はそれほど観測できません。また、ペルセウス座流星群同様、夜半前の観測はあまり向きません。 その他の流星群は、そこそこの数が期待できるオリオン座流星群をのぞけば、チリの密集度が低く出現数自体が大きく落ちます。
今年は月明かりの影響も少なく好条件
ニュースサイトなどで時々、出現数が少ない流星群の観測を勧める記事を見かけることがあります。複数の流星群が同時に活動していたり、数は少なくても明るい流星が多かったり、予期せぬ突発出現があったりすることもあるので、観測する価値がないとは言えません。ただ、たくさんの流星を期待して出かけ、がっかりした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? そうならないためにも、流星群には“性格”があることをまず、知っていただければと思います。 そして、ちょっと地味だけど安定感抜群のふたご座流星群。2015年は、数日間続く観測適期が月明かりの影響が少ない時期に重なり、予想ピーク時刻(15日午前3時ごろ)も日本の夜間にちょうど重なっています。最高の条件で、もっとも見やすい流星群を楽しむことができるのです。暖かい格好をして、ぜひ夜空を見上げてみてください。
------------------------------------------- ◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 谷明洋(たに・あきひろ) 1980年、静岡県生まれ。少年時代から天体観測と写真撮影が趣味。京都大学大学院農学研究科を修了後、静岡新聞記者を経て現職。