トイレットペーパーが消えた…JR四国が経費削減で駅無人化、地元に戸惑いや反発
トイレットペーパーがなくなる――。今春、高松市西部にあるJR予讃線・端岡駅のトイレがSNSで話題になった。 【画像】西佐川駅に整備されたスペース。清流・仁淀川の「仁淀ブルー」をイメージした青を基調とした内装になっている(高知県佐川町で)
端岡駅はアクセスの良さから周辺に住宅街が広がり、朝夕は通勤・通学で大勢が行き交う。1日の平均利用者数(2023年度)は約2400人で、高松市内のJRでは高松駅に次いで多く、四国全体でも15番目だ。
一定の利用がある駅のトイレから5月、トイレットペーパーが消えたのは、駅の無人化が影響している。
人口減少や人手不足などで経営環境が厳しいJR四国は、経費削減として無人化に舵(かじ)をきってきた。
現在は全259駅の222駅に駅員がおらず、無人化率は86%。国土交通省のまとめでは、他のJRの22年度末の割合は北海道が72%、東海67%、西日本62%、九州57%、東日本47%と、四国は他の地域に先んじて進む。
端岡駅は今年3月、利用者2000人超の駅でJR四国では初めて無人化された。「定期券の利用が多く、駅員が案内する機会が少ない」と判断したという。
かつての駅員室は、今はカーテンが閉め切られている。トイレットペーパーも「補充状況を管理できない」(広報室)との理由で置かれなくなった。
近くで整骨院を営む男性(53)はネットで窮状を知り、ほぼ毎朝、トイレを確認して無償でトイレットペーパーを補充する活動を続けている。「みんな困るし、地域への恩返しのつもりでやっている」
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経費切り詰めの影響に地元は戸惑う。
高松市は約20年前から、端岡駅を鉄道とバスを乗り継ぐ拠点として、駅前広場の整備などの計画を立てていた。また、車いすなど介助が必要な場合は、JRへ事前に連絡する必要があり、利便性の課題も生じる。
JRが昨年10月に方針を明らかにすると大西秀人市長は「やめてほしい。いろんな問題が出ると思う」と反発。市は撤回を申し入れたが、当時社長の西牧 世博つぐひろ 氏は記者会見で「乗客が減少し、要員不足をカバーしきれない。撤回は考えていない」と譲らなかった。市は今年度、整備に向け、調査など準備を本格化させている。