トイレットペーパーが消えた…JR四国が経費削減で駅無人化、地元に戸惑いや反発
JRが見据えるのは無人化にとどまらない。14~22年度には13駅の駅舎を取り壊し、簡素な駅舎を整備した。木造の古い建物は維持費や修繕費の負担が重く、安全性でも新駅舎の方が向上するためだ。今後、約70駅の簡素化を計画している。
人々が行き交い、結節点となる駅はコミュニティーを担う側面もあったが、役割は変わろうとしている。
危機感を抱く自治体は、取り壊し前にJRから駅舎の譲渡を受け、耐震工事などを行い、活用を模索する。
高知県内の土讃線では、佐川町が西佐川、斗賀野両駅について譲渡を受け、それぞれ交流スペースなどを整備した。日高村も日下(くさか)駅を22年に譲り受け、約5200万円をかけて待合室などを改修した。村産業環境課は「駅は村の玄関口で、大切な資源。駅舎は残したかった」と強調する。
自治体側には、簡素化がさらなる利用減を招き、将来的な廃線の議論につながりかねないとの懸念もある。
JR四国は22年度分以降、コスト削減の年間実績を明らかにしている。23年度は業務のデジタル化や修繕費の見直しで1.8億円。ただ、「経費削減はかなりやってきたが、まだ探さないといけない」(四之宮和幸社長)というのが実情だ。
1987年の国鉄分割民営化後、脆弱(ぜいじゃく)な経営基盤に苦しみ、本業の営業損益は一度も赤字を脱していない。鉄道事業の効率化と経営の自立。それが常に問われてきた37年であった。