中村部屋、異例の午後に開始 極めて独自性が高い稽古
大相撲の中村部屋が17日、7月の名古屋場所(14日初日、ドルフィンズアリーナ)へ向けて東京・墨田区の同部屋で稽古を開始した。1日付で二所ノ関部屋から独立。師匠の中村親方(42)=元関脇嘉風=も稽古まわしを締めて指導する中、幕内友風(29)や名古屋場所で新十両昇進を決めた嘉陽(24)らが汗を流した。稽古を異例の午後に開始するなど、極めて独自性が高い稽古となった。 独自性に満ちた時間が過ぎていく。8人の所属力士にとって、引っ越しなどがあり部屋全体の稽古は5月の夏場所中以来となったが、稽古の開始時間は異色の午後3時半に設定された。 大相撲では通常、朝稽古といわれ早朝から始まるが、既成概念にとらわれない取り組みに意欲をみせる中村親方は時間にこだわらない方針を打ち出した。18日には俊敏性や体幹を鍛えるトレーニングと、相撲を取る稽古を午前、午後に分ける2部構成を予定する。 力士の食事も朝稽古後の昼と夜の2度が慣習となっているが、中村親方は朝7時に朝食を設けて1日3食を実施。昼食を取ってからの稽古に、部屋頭の友風は「稽古時間に縛られる必要性を感じない。余裕を持って使える時間をどう考えるか。治療に使う者、トレーニングをする者。強くなる者との差が出てくる」。 内容も独特だ。相撲を取る稽古では立ち合いを排除し、四つに組み合った状態からスタート。まわしを取ることを禁じたり、下手を取り合った体勢から寄って、押して、巻き替えたり。ぶつかり稽古も頭から当たらず、体を密着させて腰をきめてから押し込んだ。そして、もう一つ。新生部屋の初々しい試みには笑顔もついてくる。(奥村展也)