日本ハム・万波中正 驚異のレーザービームで「補殺王」/守備職人のプライド
その瞬間、誰もが目を疑う超ビッグプレーが飛び出した。5月22日のオリックス戦(エスコンF)の延長10回。万波中正の強肩がピンチの芽を摘んだ。一死無走者から、山足達也が放った打球は右翼線にギリギリ落ちるライナー。ファウルゾーンを転々とし、フェンスに当たってフェアゾーンに向かった打球を待ち構えていたのが万波だ。 【選手データ】万波中正 プロフィール・通算成績・試合速報 まだ、その瞬間も誰もが二塁打になると思っていた。万波が捕球した時点で、山足は一塁を回っていた。そこからワンステップで右腕を強く振った万波から放たれたのは、これぞまさしくレーザービーム。全く落ちない弾道の送球は、山足よりも速く二塁へ到達。二塁カバーに入った遊撃手の水野も無駄のない動きで山足にタッチしてアウトにした。 このプレーを見て、現役時代は名外野手だった新庄剛志監督も「万波君も、うまくなりましたよね。ランナーの動きを確認しながら(二塁へ)走れって気持ちでやってたら、最高のプレーヤーに近づきますね」と目を細めた。55試合消化時点で補殺数は7。すでに2022、23年の5補殺を超えてキャリアハイを更新中で、両リーグトップを快走中だ。 本来は相手も警戒度が増して無理な進塁を控えることが多い。それでも補殺数が増える状況は普通ではない。新庄監督からレギュラーを確約された春季キャンプ時点から「僕は守備を頑張りたい」と言い続けてきた。その言葉どおりに打撃だけでなく守備でも引っ張る万波がいるから、チームは序盤から好調。2年連続のゴールデングラブ賞も堅そうだ。 写真=BBM
週刊ベースボール