シリアに工業規模の麻薬密造施設、アサド政権崩壊で実態解明へ
Timour Azhari [ドゥーマ(シリア) 13日 ロイター] - シリアのアサド政権崩壊を受け、政権の資金源とされてきた麻薬密造の実態が明らかになりつつある。ダマスカス近郊では工業規模の麻薬研究所が見つかった。 アサド政権は「カプタゴン」として知られる中毒性のアンフェタミン系覚せい剤の生産と販売で利益を得ていると非難されてきた。カプタゴンは戦場から建設現場や富裕層のパーティーまで中東全域に拡散した。 旧反体制派の兵士らはドゥーマ市にある廃墟となった暗い洞窟のような倉庫で、家具や果物、装飾用の小石、電圧安定器の中に隠された数千個の錠剤を発見した。ロイターの記者は、錠剤がパレットに積み上げられているのを確認した。 西側諸国は、アサド大統領の弟マヘル・アサド氏が「貧乏人のコカイン」とも呼ばれるこの麻薬の取引を取り仕切っていたとみている。現在、マヘル氏の所在は分かっていない。 米シンクタンクのニューラインズ・インスティテュートによる「カプタゴン・トレード・プロジェクト」のディレクター、キャロライン・ローズ氏によると、カプタゴンの世界的な取引額は年間100億ドルと推定され、シリア指導部の利益は約24億ドルに上っていたという。 同プロジェクトは、カプタゴン押収や研究所の捜索に関する全ての公的記録を調査しており、ロイターが確認した現場は発見されたカプタゴン施設の中でも最大級だとしている。アサド政権崩壊後の数日間で、旧反体制派は各地で複数の麻薬製造施設を発見したという。