【毎日書評】部下が気持ちよく動けるようになる上司の声かけ対話術
よい「対話」を可能にする雰囲気づくり
「武士は、和をもって貴しとなす。力をもって人を制することは、武士の勤めであるが、その力の由は、和から出づ」、これは吉田松陰が残したとされる言葉です。 コミュニケーションにおいて相手との調和や理解を重視し、対話を通じて和を保つことが重要であるという考え方が示唆されています。(107ページより) 「十人十色」ということばのとおり、人と人との間には価値観や考え方の違いがあるもの。しかし、あえてそれを避けず、関係者間でお互いの違いを違いとして認識し、理解し合う努力が大切なのです。(106ページより)
聴き上手になるための考え方
聴き上手は、相手が話しやすい環境をつくるもの。具体的には、積極的に聴く姿勢を示すことで、適度に目を見たりうなずいたりすることなどを指すそうです。 その中のひとつに、アクティブ・リスニングがあります。日本語では「積極的傾聴法」と称されるコミュニケーション技法で、相手にとって話がしやすい状況を作る方法です。 コミュニケーションの場を構成しているのは話し手と聴き手ですから、コミュニケーション上手とは聴き上手でもあります。 実際、話し上手は聴き上手というのが本当のところです。(108ページより) また、「相手の発言が充分に理解できたことを伝える」ために、聴いた内容についてタイミングをはかって確認したり、まとめたりすることも積極傾聴のスキル。 いずれにしてもこうした聴き方は、話し手にとっても話の整理になることでしょう。そしてなにより、相手がきちんと話を理解しようとしている証を示すことでもあります。 なお、このことに関連し、単に相手のことばだけではなく、態度などの非言語表現にも気を配りながら聴くことを著者はすすめています。 相手の発言にはどのような意味があるのか、何を伝えたいのか、というように、相手が本質的に伝えようとする内容に意識を働かせる聴き方が好ましいということです。 往々にして、話の途中で相手に対する思い込みが働くことで内心では「決めつけ」をしながら聴いている、また自分が責められているような錯覚を起こすことから自己正当化や保身、また自己顕示に走るような聴き方をしてしまうことがあります。 こうなると、相手の真意を理解することから遠ざかってしまいます。(109ページより) そこで大切なのは、いったん“色眼鏡”を外してみること。そのうえで相手のことばの裏側にある感情に耳を傾け、ことばで共感を表現するような聴き方を心がけるのです。そうすれば必然的に、相手との心の距離が縮まるからです。(108ページより) どこから読んでも役に立つ構成になっているため、気になったテーマだけを選んで読むことも可能。つまりは実用性が高いので、管理職としてのスキルを無理なく高めていくことができるでしょう。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: あさ出版
印南敦史