新型コロナ感染予防で変わる応援スタイル「タオルマフラー回し」「肩組み」も禁止…Jリーグが厳格ガイドライン発表
約4カ月におよんだ中断を乗り越えて戻ってくるサッカーのある日常で、以前は存在しなかった、さまざまな禁止事項を目の当たりにする。例えば無観客試合を、パブリックビューイングを介して観戦することも禁止される。観客動員後もスタジアム内でアルコール類は販売されない。 不満が高じるかもしれないし、反発を受けるかもしれない。それでも厳しい規制を設けた理由は、サッカー界が一丸となって前へ進んでいく青写真が描かれているからに他ならない。 ガイドラインの冒頭で、Jリーグは「個人防衛」と「集団防衛」を謳っている。自宅待機を強いられた時期から、選手やチームスタッフは感染防止に細心の注意を払ってきた。感染を100%防ぐ手だてがないなかで名古屋グランパスのFW金崎夢生、GKミッチェル・ランゲラックの感染が判明したが、それでも他のクラブはグループ練習から全体練習へ調整メニューの強度を上げている。 その過程で「個人防衛」から「集団防衛」へとモードが切り替えられた。周囲に感染を広げないために「発熱や咳、倦怠感などの症状が認められたら報告する勇気を、休む勇気をもつ」という合言葉は、何も選手たちやチームスタッフだけに向けられたものではない。 絶対に欠かせないファミリーの一員として、ファン・サポーターを大事にしてきた。ゆえに無観客試合の開催を、村井満チェアマンは最後の手段として位置づけていた。断腸の思いで無観客試合による再開を決めたいま、一日も早くコロナ禍以前の光景を取り戻すためにも、ともに「個人防衛」から「集団防衛」を実践してほしい、という思いをガイドライン内のさまざまな禁止事項に込めた。 フェーズを無観客試合から超厳戒態勢時、厳戒態勢時と移していった先には、言うまでもなく通常開催が待つ。逆にサッカー界から新規感染者が数多く出てしまう事態になれば、一時停止や後退を余儀なくされる。未来へ進んでいくための羅針盤となるガイドラインは第2版が完成形ではなく、政府方針やJリーグが関わる各種会議などの決定事項が反映される形で随時アップデートされていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)