令和の榊原郁恵は見つかるか ホリプロ、ミュージカルスター発掘開始
芸能界において歴史あるオーディションの一つ、ホリプロタレントスカウトキャラバン(以下、TSC)が2年ぶり開催されることになり、1日からエントリーの受付が始まった(9月30日23:59まで)。今回は「ミュージカル次世代スター」の募集として、スペシャルアンバサダーを市村正親が務める。また、今年で44回目を迎えるが、コロナ禍にあって史上初、異例のリモート審査中心の開催となるという。ミュージカルスターの発掘は、ホリプロと親和性の高いテーマといえそうだ。
第1回グランプリ榊原郁恵はミュージカルでも活躍
TSCは1976年に「全国縦断タレントスカウトキャラバン-出て来いアイドル!-」としてスタート。名称の「スカウトキャラバン」は、全国にスターの卵を探しに行くというコンセプトに基づくもの。応募総数約1万8000人の中から第1回グランプリに輝いた榊原郁恵が大ヒットしたことが、TSCの成功を決定づけた(特別賞に荒木由美子、参加者に河合夕子がいた)。それまではおもに「スター誕生!」をはじめとするオーディション番組が新人の登竜門として大きな力を持っていたが、TSCの成功は芸能プロダクションの自社オーディション普及も結果的に推進した。当初はアイドルを中心に発掘してきたが、時代が平成に移り変わると芸能界の多様化に対応するように年齢やテーマを毎年変えるスタイルとなった。 これまでにTSCが輩出したスターは数多い。堀ちえみ、大沢逸美、井森美幸、鈴木保奈美、山瀬まみ、戸田菜穂、上原さくら、佐藤仁美、新山千春、深田恭子、酒井彩名、平山あや、綾瀬はるか、石原さとみ、緑友利恵、石橋杏奈、足立梨花、小島瑠璃子……とざっと名前をあげたところで「○○が入っているのに△△が入っていないのはおかしい!」とお叱りを受けるのが避けられないほど、多くのスターを発掘している。
恵まれた環境で磨かれる原石
そんな歴史の上に立って、今回の開催では初めてミュージカル次世代スターオーディションを敢行。もともとホリプロとミュージカルは関係が深いが、中でも1981年から始まった「ピーター・パン」は老若男女問わず有名な演目だろう。初期は新宿コマ劇場で行われ、フライングのある上演は話題を集めた。TSC第1回グランプリの榊原郁恵が結婚で降板するまで、87年まで7年連続でピーター・パンを演じた。現在、20代の女優ではトップクラスの人気と実力を備えた高畑充希もピーター・パン経験者だ(ただし高畑はTSCではなく、同じホリプロ主催でも2005年に開催された「山口百恵トリビュートミュージカル『プレイバックpart2 屋上の天使』」出演者オーディションで主演を射止め女優デビュー)。 今回のオーディションで発掘された原石は、ホリプロのミュージカルという恵まれた環境で新人俳優として育成され、スターを目指せる。 写真や歌唱動画などを提出するWEBエントリーの1次選考後、オンラインでの面談を中心に2次、3次選考、11月下旬には講師による4次選考のレッスン審査が行われ、12月中旬、都内会場で決選大会が行われる。グランプリはキング(男性)かクイーン(女性)のどちらか、または両方の可能性があるとのことだ。 芸能界で活躍する新たなスターが登場することに期待したい。 (文:志和浩司)