Netflix「動画配信で成功」を実現できた企業文化、経営者だけでなく従業員にまで浸透している
もちろん、創業経営者が株式市場での上場基準をみたすために株式を売却する必要があるなど、合理的な理由がある場合は別であるが、売却のタイミングやコミュニケーションの仕方に十分気を配る必要がある。 実際に起こったケースとして、期待外れな決算発表をする数カ月前に自社株を売却したマネジメントに遭遇したことがある。期待外れな決算発表の前には、そのマネジメントはポジティブな発言をしており、高い株価で彼らは自社株を売却することができた。その後、決算発表後に株価は暴落することになった。
このようなマネジメントは、会社の永続性よりも、短期的な自分の利益を優先していると言わざるを得ず、市場からの信頼を大きく失うことになる。 会社の起業家精神 進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」という名言を残した。これは企業にも当てはまるものであり、将来を見据え、先手先手で新しい事業に投資を行なわない限り、成長を持続していくことは困難である。
動画ストリーミングサービスのNetflixはその最たる例といえる。 Netflixは元々、DVDの宅配販売・レンタルを行なう会社であった。共同創設者のReed Hastingsは、「人々は将来的にインターネットで動画を観るようになるはずだ」と確信し、2007年にインターネットでの動画配信を始めた。 ■起業家精神の浸透が「明暗」の分かれ道 その後、自らがコンテンツ制作に携わることを決定し、2011年には大ヒットシリーズのHouse of cardsを生み出し、Netflixの登録者を大きく成長させることに成功した。いまでは、フェイスブック、アマゾン、グーグル等とともにグローバルIT企業の仲間入りをしている。
一方、Netflixのライバルで、一時は全米各地に3000店舗を展開していたDVDレンタルチェーンのBlockbusterは、動画ストリーミングサービスの普及によって2010年に倒産に追い込まれた。マネジメントが、インターネットの普及と消費者の嗜向の変化をうまく捉えられなかった結果といえよう。 新しい事業をスタートすることにはリスクが伴う。リスクを極端に嫌がる企業は、目先の数年は生き残りが可能であるが、長期的に存続していくことはむずかしい。