小久保裕紀監督「日本シリーズは3敗できる」の落とし穴…“有原続投、スチュワート投入”ソフトバンク采配の「余力」がDeNAの「全力」に飲み込まれたわけ
「日本シリーズですからね」
舞台を福岡に移した第3戦から形勢は逆転した。DeNAの先発投手がゲームを作って、第1戦、第2戦の戦いを生かしての後半勝負に持ち込むと、勝機が訪れた。「流れ」はそうして変わった。 第3戦の先発・東克樹が7回1失点、第4戦のアンソニー・ケイ、第5戦のアンドレ・ジャクソンが、ともに7回を無失点。そして後半からの得点力でリードを広げるという、完璧な試合運びを見せた。できることを全力でやり切った結果としての形勢逆転。2勝2敗で迎えた第5戦の先発に、中4日のジャクソンを立てたことも、現有戦力でできることの最大値を出し切ろうという決断だった。 「日本シリーズですからね。ジャクソンも前回の登板の後にすぐ確認して、コンディショニング次第ではいけるという話でした。本人のリカバリーと、トレーナーやコンディショニングコーチ、ピッチングコーチもそうですけど、周りのケアもあって、今日は(マウンドに)上がれたということです。まだ終わってないんでね、今日の試合を勝てた意味というのはわかっています。先制点を取ることを意識してやっていますし、それと同時に先発陣がしっかりとゲームを作っているからこそ、先に得点が取れるとも言えるんですよね。そういう試合ができたのは大きかったですね」 第5戦を終えての三浦監督の発言一つ一つからは、熱量が伝わってきた。 第6戦のソフトバンクは、第1戦で好投したエース格の有原航平が先発。当然、ソフトバンクが優位に試合を運んでもおかしくなかったが、2回裏、DeNAの5番・筒香嘉智がバックスクリーン右に豪快な一発を叩き込み1点を先制。さらに、下位打線でチャンスメークすると、1番桑原将志の左翼適時打で2点を追加した。 もう一つも負けられないソフトバンクの方が、追いかける形となった。 ここからソフトバンクが巨大戦力を武器に巻き返してくるかと思ったが、8番から始まる3回表の攻撃で、ここまでのシリーズでノーヒットの甲斐拓也、9番ピッチャーの有原にも代打を送らず。結局、反撃姿勢を取ることなく3人で攻撃を終えてしまった。後がないはずのソフトバンクは、有原の奮起を待っているようでもあった。
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