東大合格者に「早生まれ」が少ないのは本当? 子どもの発達にあわせて親がサポートできること
個人差に合わせた指導は、学校や塾は無理でも、親ならできる
PISA(国際学力調査)で常にトップクラスの成績を誇るフィンランドでは、一クラス16~20人ほどの少人数制が基本です。授業ではさらに、4、5人ずつのグループに分け、教師はそれぞれに教え方を変えながら指導します。学力に差のある子どもたちを同時に教えるのですから、本来、これくらいのきめ細やかさがあって当然です。 ところが日本は、一クラスの人数が35~40人もいるため教師の負担が大きいうえに、残念ながら、個々に合った指導が行われているとは言えないのが実情です。 改正義務教育標準法が可決され、2021年度から一クラス35人制が段階的に導入されてきているものの、全学年35人学級が実現するのは、2025年度と、まだ時間がかかります。学校のシステムが変わるのを待つより、いま、親としてできることをしていくべきでしょう。子どもの発達に合わせて、「いつ」「何をさせるか」を考えてあげましょう。 また、「中学受験のために塾に通わせたい」と思っても、子どもによっては成績が上がるどころか、逆効果となってしまうことがあります。できる(発達の早い)子にとっては、学校の授業が物足りなくて飽きてしまっている可能性がありますから、楽しく勉強を続けさせるという意味では有益かもしれません。 しかし、できない(発達の遅い)子にとっては、学校の授業だけでも辛いのに、レベルの高い中学受験塾にまで行かされるとなったら、みじめな思いが強化されてがんばる気力さえも奪ってしまいかねません。 もはや「学校や塾に頼っていれば安心」という時代は終わりました。家庭こそ教育の最後の砦といえるのです。
和田秀樹