東大合格者に「早生まれ」が少ないのは本当? 子どもの発達にあわせて親がサポートできること
「9歳の壁」を理解し、効果的に利用する
「9歳の壁」という言葉をご存じでしょうか。子どもの発達は、学童期に入ってから小学校低学年と高学年(9歳以降)と2つの時期に分けられるというものです。 高学年になると、物事をある程度対象化して認識できるようになり、自分のことも客観的に捉えられるようになるとともに、発達の個人差が顕著になります。自己肯定感を持つようになる一方で、勉強ができないことなどが原因で、劣等感を持ちやすくもなります。9歳の壁とは、この段階にあることを意味します。 9歳の壁を越えるまでは、抽象的思考が必要な課題を解くのが難しいといわれています。算数の帯分数や、あまりのある割り算、文章問題、複雑な図形の問題、国語の長文読解問題などは、9歳の壁を越えていない子どもにとっては、ほとんど歯が立たない課題といえるでしょう。 一方で9歳の壁を越える前、小学校低学年までは記憶力に長けているので、その記憶力のよさを生かすことができる課題を与えましょう。漢字であれば、小学校の低学年のうちに、6年で習う範囲までやらせてしまうことも可能でしょうし、それでも余裕がありそうでしたら、中学1年で習う英単語を覚えさせてもいいかもしれません。その子が「できる」課題であれば、どんどん先に進めてしまっていいと、私は考えています。 9歳の壁といっても、小学校低学年ですでにその壁を越えている子もいれば、高学年になってもまだ越えられていない子もいるように、発達はそれぞれです。大切なことは、その子どもの発達段階に応じた課題を与えることです。 本人の自己肯定感を失わせてしまうようであれば、無理にレベルの高い課題を与える必要はありません。子どものうちは、できることを積極的にやらせてあげましょう。 また、発達のスピードには性差もあり、一般的に女の子のほうが脳も身体も発達が早いといわれています。女の子の親が、将来、性差を超えて活躍できるようにと「先取り学習」に積極的になる気持ちはわかります。英才教育は、発達が早い女の子のほうが向いているともいわれますし、子どもにとって無理のない形であれば、先に先にと学習を進めていくことはよいことでしょう。 親が自分の子どもに教える最大のメリットは、一般に「よい」とされている勉強法でも、その子に「合わない」と判断したときに、ほかの勉強法に変えてみることができるという点です。