まさかの麻布中合格 受験勉強は好きなことへの「没頭力」が鍵 アナウンサー吉田尚記さん 私の受験時代
■読む力生かされた
目指したのは東京の私立男子校、麻布中学・高校です。文化祭でパソコンを使う生徒のかっこよさに魅了されちゃって。
麻布中の国語の過去問に使われた作品の全文を書籍で読んでみて面白いと思った記憶があります。問題も読み物として小学生をうならせるのを狙いながら作られていたのではないでしょうか。
それでも塾の麻布中の受験対策コースでは成績が下位のほうでしたから、まさか受かるとは。塾で合格確率80%以上に一度もならずに迎えた入試でしたが、緊張した覚えはないんです。そんなに結果にこだわっていなくて。歴史などを学ぶ楽しさを知り、これまでにやってきたことは無駄にはならないと感じていましたから。
合格して麻布中に入るとSF作品が好きになり、苦手だった理科でも特定分野には興味が湧いて、その成績が良くなりました。「弱点を克服せよ」なんて言う人もいますが、好きになったことから勉強していけばよいのではないでしょうか。そのほうが理解しやすいはずです。
振り返ってみると、読書が苦にならないというのがどの受験でも役に立ちました。慶応大の入試でも、読む力が生かされたと思います。今も移動中の電車内では、電子書籍を読むのに没頭しています。何かにのめり込むと、時間が飛ぶように過ぎる感覚を味わえませんか?
そんな「没頭力」に大きな価値があると思っています。釣りに夢中になる人もいれば、理論書を読むときに集中力が高まる人もいるはず。人にはそれぞれ「ゾーン」に入りやすいものがあると思います。
入試に向けてラストスパートをかける人に勧めたいのは、テンションが上がる勉強です。気分が高揚して受験勉強に没頭できるようになったら、結構、楽しめると思いますよ。(竹中文)
■吉田尚記
よしだ・ひさのり 昭和50年、東京生まれ。慶応大文学部卒。平成11年、ニッポン放送に入社。主な担当番組は「ミューコミVR」など。『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』など著書多数。