「ケガだけが心配」の声も…DeNAオースティンが全力プレーをやめない深いワケ 本人が明かす「監督に胸ぐらを掴まれた日」「甲子園が大好きなんだ」
オースティンがティーンエイジャーだったとき
そう言うとオースティンは、ニューヨーク・ヤンキースからドラフト指名された当時のエピソードを教えてくれた。 「ヤンキースの育成方針は、マイナーレベルであっても“勝利”や“優勝”だったんだ。そういったことが優先されるチームで育つことができたのは、自分の野球人生にとって大きかったと思う。あと、勝利至上主義のカルチャーであっても、監督やコーチは『どんなときでもなにかあったら話に来ていいぞ』といったオープンなポリシーがあって、そのバランスが今の自分の土台になっているんだ」 オースティンというベースボール・プレイヤーを作り上げてきた正体が、おぼろげながら浮かび上がる。
好成績も「まだしっくりとは来ていない」
さて今季、DeNAは勝率5割前後を行き来しながら、混戦状況になっているペナントレースから抜け出すことを虎視眈々と狙っている。 「チームとしてはまだまだ改善できる点はあると思うから、流れをいい方向に変えて勝利を重ねて行けば、絶対にチャンスはあると思う」 真っすぐな目でオースティンは言った。自分自身、これだけの成績を残していても、まだまだブラッシュアップの余地はあるという。 「正直に言えば、自分のバッティングに関してまだしっくりとは来ていないんだ。例えばカードを通して、あるいは週を通して調子がよかったことがなくて、そこを改善、継続するために田代(富雄)コーチとあれこれ意見交換している段階だよ。今はとにかく打球スピードを重視して、しっかりコンタクトして打席を終えることを大事にしているんだ」
NPBのピッチャーはお世辞抜きに好投手ばかり
NPBも5年目、日本のピッチャーに対して理解を深めた点などはあるのだろうか。 「理解したとは言い難いけど、僕が日本に来た2020年と比べてもピッチャーの平均球速はかなり上がっていると感じている。ただ、この5年の経験を通じて、打席の中での対応は良くなっているかもしれないね。まあNPBのピッチャーはお世辞抜きに好投手ばかりなので、ホームランを打ったら運が良かったぐらいの気持ちでいるよ」 そう言うとオースティンは苦笑したが、「けどオレは負けないよ」という自信が滲み出ているような気がした。