ワークマン最高峰の防寒性と防水性「イージスフュージョンダウンジャケット」が売れ続ける理由
工場探しから始まったイージスダウン
山田: 現在販売されている「イージスフュージョンダウンジャケット」の前身となる、「イージス防水防寒ダウンジャケット」が2020年秋冬に発売されました。「リペアテック洗えるフュージョンダウンフーディー」と同時に発売され、「ワークマン初のダウン」ということで大きな話題となりました。
山田: 前回のインタビューで、ワークマンには4,000円を下回るとお客さんが手に取りやすくなる「4,000円の壁」があるとお聞きしました。「イージス防水防寒ダウンジャケット」は「4,000円の壁」を大きく上回る5,800円です。売れ行きはいかがでしたか? 羽倉: 現場で職人さんが着用する場合は、どうしても汚れたり、ダメージを受けたりすることが多く、1シーズン着たら終わり、ということになりがちです。そうなると、できるだけ安価であることが求められますが、「イージス防水防寒ダウンジャケット」は5,800円という価格を上回る価値を提供できましたし、2020年はワークマンプラスを展開しはじめたことで、カジュアル用途で着用される一般ユーザーのご来店も増えたので、売れ行きは非常に好調でした。
山田: 5,800円で防水のダウンジャケット、というのはやはり相当開発が難しかったのではないでしょうか。 羽倉: そもそも、ダウンはワークウエアではなかなか扱わない素材です。なので、我々が取り引きしていた縫製工場でもダウンを扱えるところが非常に少なかったので、まず工場から開拓をしなければなりませんでした。ダウンを使う場合は、ダウン専用の機械が必要になるので、もともとその機械を備えているところを探したり、わざわざ新たにダウン専用の機械を導入してもらったりする必要がありました。 山田: 2021年秋冬には製品名が「イージスダウンジャケット」となり、僕が共同開発に加わります。当時僕が出したリクエストは、フロントを面ファスナーからドットボタンに変更してもらうことでした。ドットボタンだと、Aラインなどのシルエットの変化が付けやすくなりますし、インナーがニットだった場合、生地に面ファスナーが絡みつかなくてすみます。