3M日本法人敷地から高濃度のPFAS、相模原市が明らかに
■PFAS規制が進む欧米、米国では大型訴訟も
欧州ではECHA(欧州化学物質庁)が2023年に発表した規制案により、1万種類以上あるPFASの製造や使用、販売が制限される可能性がある。 一方、米国では2024年、環境保護局(EPA)が厳しい基準値を決めた。飲料水に含まれるPFOSとPFOAの濃度の基準値を1リットルあたり4ナノグラムと定め、PFHxSなどは10ナノグラムとしたのだ。 米国ではPFASに関する訴訟が相次いでいる。米3Mは2022年、2025年末までにPFAS製造から完全に撤退すると発表した。同社は飲料水を汚染したとして、多くの米自治体に訴えられ、13年間で最大125億ドル(約2兆円)の和解金を支払うことで暫定合意している。 米国での相次ぐ裁判のきっかけになったのは、米化学メーカーであるデュポン社の廃棄物埋め立て地の近くで牛が次々と病死したことだ。 農場主から相談を受けた弁護士は1999年、デュポン社を提訴した。その後、工場一帯の住民にも深刻な健康被害が広がっていることを突き止めた。企業がその事実を認め和解するまでの20年にわたる裁判は、映画「ダークウォーターズ 巨大企業が恐れた男」で広く知られている。 米バイデン政権のもと、EPAは2024年4月、PFOSとPFOAを包括的環境対策・補償・責任法など、通称スーパーファンド法の有害物質に指定することを最終決定した。これにより、汚染者に浄化費用などの負担を求めることができるため、米国では今後さらに訴訟リスクが高まる可能性がある。日本でも早急に規制を強化することが望まれる。