大阪「みさき公園」63年の歴史に幕 最後の園長あいさつに温かい声援も
園長、最後にあいさつは人が集まってきたので簡単に
閉園後に真貝園長ら職員は、正門の前で職員全員でのあいさつを考えていた。このことは人が集まらないよう事前に発表せず、ほんのささやかなセレモニーとしてひっそり計画していたが、門が閉まるようすを見ようとした来園者が多く集まり始めた。 真貝園長はこの状況をみて、急きょ新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、職員全員でのあいさつをとりやめ。ハンドマイクを持ってひと言お礼を述べた後、早く帰ってもらうよう強くお願いをした。すると、その気持ちを察し、多くの来園者からは拍手が湧き起こり「今まで楽しくすごさせてもらってありがとうございました」「本当に感謝しています」といった声も聞かれ、少しずつその集まりは散らばっていった。 このことについて真貝園長は閉園後の会見で「本来であれば、きっちりとみんなで前に出て最後のあいさつをしたいと我々スタッフは考えておりましたが、いまのご時世ですとそれをできる状況ではなかったので、大変申し訳なかったんですが、簡単なあいさつとさせていただきました。それについては残念なんですけれども、正しい判断だったかなと思っております」と述べた。
営業終了後、園長「終わったなというのが率直な感想」
閉園となり、真貝園長は「今は『終わったな』というのが率直な感想です。63年という長い歴史の中でずっと営業し続けてこれたのは誇りに思いたいと思います。みさき公園へ来ていただいた、これまでみさき公園に来ていただいたすべての皆様に感謝を申し上げたいと思います」と気持ちを語った。 また、今月に入ってからは、政府や大阪府の発表によって、営業できるかどうかの対応や検討に悩む日々が続いていたが、あすからはその面に対しての心配はなくなったとも話していた。
閉園後に職員全員でのあいさつを動画撮影、公式ツイッターに投稿した
閉園後の会見を終え、報道陣も引き上げた園内。真貝園長は、来園者へのあいさつができなかったことが心残りだったため職員全員を集め、行うはずだったあいさつを動画撮影。それを同園の公式ツイッターに投稿した。すると、投稿直後からたくさんの反応があり、これまで同園に来てくれた人の心に伝わったことがうかがえた。 筆者も閉園後の取材が終わり、南海みさき公園へ向かう途中、突然、雨が降ってきた。まだ駅にいた来園者からは「営業中に降らなくて良かった」「涙雨やな」「思い出作れたな」という声も聞かれた。そんなたくさんの思いに見守られ、みさき公園は63年の歴史に幕を閉じた。 南海電鉄の運営撤退後、みさき公園の跡地は、岬町が「自然公園」として整備する方針。来年春の開園を目指すという。