日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
かつての映画で複数の人間の屍から1体のモンスターを生み出した『フランケンシュタイン博士』の物語がありましたが、まさに車名どおりに“怪物的”なトルクとパワーを獲得するに至っています。 ちなみにこのマシンのエンジンのフロントバンクは1991年にサンダンスが生み出した『スーパーパンヘッド』のものとなっており、リアは1992年の『スーパーナックル』、それをショベルの腰下に組み合わせ、内部はS&S製フライホールにサンダンス・オリジナルのフライホールウエイトリングを装着。
そこに組み合わされるコンロッドはEVO(1984~1999年に生産されたモデルの型式)より全長が長いTC(1999~2017年に生産されたモデルの型式)用のものを組み合わせることで適切な連稈比(レシプロエンジン等におけるコネクティングロッド長とクランク半径の比)とし、ピストンのシリンダー内壁にかかるサイドフォースも軽減。 そのシリンダー内壁にはサンダンス独自の技術である特殊合金を溶射し、フリクションを大幅に軽減する“T-SPECコート”が施されています。ちなみにこのマシンのエンジンはボア93mmでストローク111.2mmの1510ccとなっているのですが、エンジンのフィーリングはサンダンスがこれまで開発したレトロコンバージョン・シリーズの中でも随一のものです。
所ジョージ氏とZAK柴崎氏、二人のコンセプトを具現化
現在、世界のモーターシーンでは旧き良き時代のマシンを現代的な技術で再現する“レトロモッド”やエンジンそのものを再設計し、造り上げてしまう“リバースエンジニアリング”という手法が一つの流れとなっていますが、そうした言葉のない80年代後半から、こうしたアプローチでマシンを製作してきたサンダンスの成熟した技術はさすがの一言です。
実際、’92年に発表し、’95年から市販化された『スーパーXR』や1999年に発表し、2000年より限定10台で市販化されたアルミヘッド(本来のナックルヘッドは鋳鉄製ヘッドを採用)の『スーパー“リアル”ナックル』は今も世界的に高い評価を受けています。 そのサンダンスの集大成といえるエンジンを受け止める車体もサンダンスが培ったノウハウと所ジョージ氏の遊び心を感じさせるものとなっており、フレームは80年代のハーレー、ソフテイルのフロントセクションに、前述の『スーパー“リアル”ナックル』のリアセクションである「サンダンス・アクティブリジッド」をドッキング。一見するとリアサスを持たないリジッドフレームのようなシルエットでありながら、じつはリアサスが稼働するという凝った造りが与えられています。