<土屋太鳳>「本能的な母性をイメージして演じた」 新感覚サスペンス・スリラー「マッチング」
つらかったです。許せないなと思う登場人物も出来事もあまりにも多くて。でも、なぜかどこか分からなくもないというか、現実にありうる物語かもしれない、自分にも誰にでもこのスイッチはあるのかもしれない、とも思いました。
--演じられた唯島輪花の印象はいかがですか?
輪花は基本的に普通の女の子なので、実はいろいろな方が、いろいろな共通点を見つけやすい人物だと思います。私が一番共感できた部分は、家族と仲がいいことです。
また、公私ともに仲のいい友人がいる点も似ていると感じましたし、その友人を大切にしている姿にも、共感を覚えました。
--輪花を演じる上で意識したことを教えてください。役作りで自ら提案したことなどございましたか?
提案というよりは、「台本にはこう書いてあるんですけど、そこまで私は近寄れないと思います」とか、「この気持ちにはなれないと思うんですけど」という感じでお話をして、監督もそれに対して無理をいうことはなく、ああ、大丈夫、という感じで試行錯誤してくださいました。
内田監督は、人との距離感をすごく意識して場所を替えたりトーンを替えて演出してくださったんですけど、そういった変更を重ねることですごくしっくりくる感覚がありました。
演じていた感覚としては、私には途中から輪花が何か別の感覚に覚醒するように感じていました。それが何か最初は自分でも分からなかったんですけど、あるとき、もしかして母性かなと感じたんです。
でも柔らかくあふれるような母性ではなくて、外からどんどん与えられる衝撃があまりにもつらくて輪花が自分の中に逃げ込んだ結果、見つけたのが母性という本能が持つ独特の強さなのかなと感じたので、感情としてというより本能的な母性(動物のような母性)をイメージしながら演じました。
--さまざまな出来事が起こる中でも進んでいかないといけない、そんな輪花の“強さ”をイメージされたということでしょうか?